Vol.7 電子書籍 ~コラム:技術者の視点で世の中を俯瞰~森田さんに聞きました

Vol.7 電子書籍

このコラムに第7回目になりました。早速“ねた”に困ってしまいそうで、連載作家の苦悩が身につまされます。好きなことを書いていいことになっておりますので、気を取り直して自分の関心のあることについて書いていこうと思います。今日は、大好きな本のことについて少し書いてみましょう。

皆さんは、出張での電車での移動中どんなすごし方をされておりますか。私の場合、小平と京橋の間をかなりの頻度で移動しますので、その往復の電車移動の時間をいかに有効に利用していくのかが大きな課題となっています。機密の資料をやたらと開いたりはできませんので、必然的に本を読むことによっての乏しい知識の補充が主な時間の過ごし方となっています。必然的に、知識の補充に役立ちそうな書物を常に持って回ることになります。

ところが最近読みたい本が新書・文庫系からハードカバーの本(ビジネス系)にシフトしてきたことで、本の重さが気になりだしました。そもそも、皆さんも経験があると思いますが、近年、出張中や出張先でいろんなことをやろうとすると、かばんが結構重くなってしまう傾向があります。特に10年以上前までは出張時のかばんの中身は、手帳と資料くらいで結構軽い状況でした。それが出張用パソコンをメール・プレゼン用に持ち歩くようになってからとても重くなってしまいました。ラップトップ出だしのころですと電源を入れると2kg以上が付加されていて、肩が痛くなったものです。それがPCの軽量化に続いてスマホが登場するに至って200gくらいに劇的に軽量化されました。まさにハーフウエイトどころではないイノベーションです。

ところがこのスマホなるもの、長文を読んだり書いたりするには非常に困った代物です。(もしかしてニュータイプの皆さんは問題ないのでしょうか?) 正直に白状すれば、私は、スマホでは長いメールはその場では斜めにしか読めませんし、ましてや添付ファイルなんかめったことではスマホでは見たことがありません。そんな状況ですので、スマホでハードカバーの電子書籍を読む気には到底なれません。

そこで今流行のタブレットや電子書籍端末の登場ということになります。但し残念ながら、ほとんどの場合これらの端末の重量は、ハードカバーの本と同等か、たいていの場合重いのが現状です。実際重さを図ってみますと、今手元にある“スティーブジョブズ脅威のプレゼン”を計ると約150gですがなんと標準的なPadは600gです。北米のハードカバーの本はもう少し重いのでこれでもいいのでしょうか。電源を持って歩くと致命的に重くなります。たくさんコンテンツを入れられるのも事実ですが“お出かけ中”にそんなに本を何冊も読める人はいないのが事実です。この状況では、文字の読みやすさやページ繰りの利便性なんかも考えた場合、少なくとも電車での立ち読み勝負では、まだまだハードカバー系の本でも紙媒体が重量では優位な状況にあると思います。
情報の電子伝達イノベーションの具現者であるジョブズ関連の情報が紙媒体の本でこれほど売れるというのは、まさに過渡期を表す事実だと感じます。

PS: ところでなぜビジネス書とか専門書はハードカバーのB5版で出るのでしょうか。内容の伝達が顧客価値ならば新書のように軽いほうが優位なはずです。もしかすると権威付けや媒体重量以上の付加価値の設定が可能とかのビジネスシステム上のバリューがあるのかもしれません。調べてみたくなってきました。

森田浩一氏

大手タイヤメーカーにて 高分子化学分野の技術者として実績を重ね、研究所長、役員などを歴任。
現在は大手音響・楽器・電子部品メーカーにてイノベーション推進を担当する。

“なぜだろう”の問いかけをキーワードに多様な方向性で情報を集め、一歩違う視点で常に考える。
猫をこよなく愛するハードロッカー。

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