株式会社竹中工務店 事例にみるKAIKA経営の実践

KAIKA Awards 2014ではKAIKA賞3組織、特別賞2組織、特選紹介事例3組織を選出いたしました。
こちらのコラムでは順次事例をご紹介しています。

KAIKA賞 株式会社竹中工務店

「伝統継承とDNA情勢、そして進化する『新社員教育制度』~竹中精神を基盤とした社会との対話~」

【取り組み概要】

新入社員採用を行うほとんどの会社が、新入社員研修を行っていることと思います。人事が預かってマナーや実務的な研修を行うことも多いでしょうが、長くても半年程度かと思います。同業他社でも、合宿を通じて体験型で学ばせたり、資格講座を開いたり、実務をできるだけ早急に習得させるべく取り組みを図る訓練的な事例は数多くみられます。

竹中工務店では、育成コースの基盤として、初年度について、複数の職場で実務を体験させ、上司や先輩の直接的な指導を通じ、徹底的に鍛え上げています。また教育寮と呼ぶ創立の地である神戸にある社員寮で、同期社員との共同生活を体験させています。新入社員を人事が預かって基本研修を行ったり、職場に委ねて教育するだけの研修ではありません。関係者が“よってたかって”、社員としての仕事への取り組み方を伝える日常に埋め込まれた研修であり、建築物の品質・コスト追求の姿勢などについて理解をすすめています。

この研修のねらいは、1.社員としての基礎を修得(誠実な人間として成長し、伝統的精神を継承する)、2.個々人としてのキャリア形成の出発点に立つ、3.入社同期生との相互研鑽を図る、4.様々な部門での経験や多様な研修を通じて会社人としての幅を広げる、ことの4点である。具体的には、導入教育、場内教育(OJT)、基本業務及び実務研修(OFF-JT)、寮会、寮生活による生活指導などによって構成されています。

職場内教育とは、よい仕事がよい人を育て、よい人がよい仕事を生むという、実務が人材育成の基本であるという考えのもと、1年間で凡そ4カ月単位で異なる分野の3つの部門をローテーションし業務をこなして教育していくことです。学生時代の専攻や適性を勘案して配属先を決定しますが、建設業としての源泉である作業所に一度は配属となるように組み立てられています。長年継続してきたことで、社内外の関係者にも新人教育が周知されていて、それぞれの職場で受けいれる風土があるといいます。

職場内教育の内容であるが、教育機会を与えて個人に任せきりにしないために、指導担当者制度を設け、辞令を交付された先輩社員がマンツーマンで指導に当たっています。新入社員は毎日日誌を記入し、指導担当者に提出してアドバイスを求めます。そして指導担当者が悩みの相談や指導を行い、各ローテーション毎に4ヵ月間の教育計画を作成します。新社員・指導担当者・上長が実施事項やレベルを理解し、何を学ぶのかを理解し合う機会があるのです。

教育寮では、入社2 ~ 4年の若手社員4名が寮長として共に生活して、相談や指導に当たっており、女性寮長も存在します。寮では2名一部屋の相部屋生活であり、4カ月に一度部屋替えを行っています。

教育寮の運営については、毎水曜日夜に全員でのミーティングを持つ自治運営ですが、それも自然と教育の一環となっています。年に一度、寮祭を地域住民にも公開した交流も行っていますが、その企画運営も有用な機会です。さらに寮会と称して、原則として月1回経営陣と直接対話する機会を持っています。

教育寮内には創業以来の図面や諸資料が展示されている竹中歴史資料展示室があり、伝統と継続を実感することができるようになっています。寮の歴史は、1947年に全寮制が開始され、1952年には期間が一年間と定められました。それ以降、新入社員は一年間寮生活を行う歴史と伝統があります。つまり現在の役員も同様の経験をしていることで、寮生活で培われる意味や意義についての理解者であり庇護者であることが本制度を継続させ、また全社の土台づくりであり続けている点でしょう。吹田地区での増設や、東京本店でのローテーションも組まれた時代があったが、現在の教育寮である神戸深江(1961年~)が継続され、大阪本店でのローテーションとともに運用されています。女性社員の採用増加もあり、寮での女性居住スペースが増えたり、外国籍社員が採用されるなど環境変化には都度対応しています。これらのことも要因となり、新卒者の定着率は高くなっています。一年間かけて背骨を作り、あとは毎年それを太くしていくという体験談も伺っています。

<KAIKAポイント>

「新社員教育制度」とは、新卒入社総合職全員が、入社後1年間に亘り教育寮で生活しながら、複数部門ローテーションでの業務経験を重ねる新入社員教育制度です。1952年に始まったこの制度は、同社精神に立脚した人材育成という本質を見失うことなく、時代や社会の変化にあわせて、柔軟に内容の改善と充実を図り継続しています。自治による寮での生活に加え、研修と連動したプログラムが含まれ、社長や役員が寮を訪れ新社員と直接対話する機会も毎月設けられています。各職場においては、指導担が日々OJTを行うだけではなく、日誌や成果発表など、職場ぐるみで育成を行うことが風土として定着しています。

同社では手がけた建築物を「作品」と呼び、創業以来受け継いでいる「棟梁精神」が仕事に反映され、「最良の作品を世に遺し、社会に貢献する」という経営理念の実現を日々追い続けている。その実現の土台となっているのが、この「新社員教育制度」です。同期との豊富な相互研鑚やジョブローテーションの機会を経て、多様な関係者との仕事の進め方等が会得され、その後の成長基盤をつくります。そして、全社員が時を超えて同種の体験を持つことが、組織力に生み出す会社の共通基盤でもあり、企業理念を体現する人材と作品の創出を通じ、社会と対話することにつながっています。

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