株式会社日比谷アメニス 事例にみるKAIKA経営の実践

KAIKA Awards 2015ではKAIKA大賞2組織、KAIKA賞6組織、特選紹介事例3組織を選出いたしました。
こちらのコラムでは順次事例をご紹介しています

特選紹介事例 株式会社日比谷アメニス

「多様な人材によるボトムアップ型プロジェクトの挑戦」

【取り組み概要】

メンバー60名が、2012年4月から2013年3月までの間で、5つのプロジェクトに分かれ、未来像をとりま とめた。主な内容は会社の経営理念の再確認と、マーケット、テクニカル、ひとづくり、ビジネスモデル、ビ ジョンづくりであった。活動の結果、プロジェクトの最終報告書となる「成長戦略への提言」を作成し、2013 年2月に発足した「成長戦略プロジェクト」に引き継がれ、実務への展開が図られていくこととなった。

ビジョン作りだけに終わらず、定着推進のために、いくつかのプロジェクトが推進されている。たとえば「社内大学プロジェクト」は、社内に学習の場を設けたいという意見を基に立ち上がり、社員が講師を務めながら 半学半教の場としての機能や、普段仕事上では関わることが少ない社員同士のコミュニケーションの場としての機能も発揮している。

外部講師を招くことで外部との交流・情報交換も積極的に行っている。「スペースグ リ-ンプロジェクト」は数十年先の緑化を考えるもので、現在は未緑化だけれども必要と思われるスペースを見つけて実現に働きかける活動や、人類が宇宙空間に進出した際の宇宙での生活空間における緑化などの構想 がある。また「CSRプロジェクト」では、造園施工現場におけるイベント実施などの活動や、子供向けの教育活動なども行っている。

こうした活動と同時に、社内でビジョンを共有していく活動として「みどりと夢をみるワークブック」を埋めていくワークショップも定期的に開催。緑化事業が好きで入った社員たちが夢を語り 合うことで、相乗的な活力が生まれる土壌となっている。また年2回の技術発表会では階層や年齢を問わず活 発な意見交換が重ねられ、組織風土を表している。

KAIKAポイント

「アメニティスケープクリエーション第2章検討プロジェクト」は、多様な人材によるボトムアップ型プロジェクトである。199年のCI導入時のスローガンであった [Amenity Scape Creation]を再定義し、10年後のビジョンづくりを行った。
10年ビジョンの策定により、企業風土に革新をおこし、活動により個がスキルアップすることで社会に対する新たな取り組みを生むことを目的としている。トップダウンとボトムアップの融合(社員の三分の一を巻き込んでの取り組み)で活動はすすめられ、実際の経営活動に反映させるべく「成長戦略への提言」がなされ、実行につながっている。そして、社員一人ひとりの理解・納得により企業の目指す方 向性を意識した迅速でよりよいセルフマネジメントモデルが志向されている。

現状を見つめ直すと同時に2022年という先の視点をもって、これから取り組むべき中期戦略を考えていったところに特徴があるが、その他、社員への理解と浸透を図るための様々な巻き込み策のアイデアと実行し、事業戦略と実務との結びつきの深まりも特徴的である。

<本事例を取り上げた背景…審査委員会コメント>

この取り組みの注目すべき点は、様々な要因により組織が停滞、または、危機が訪れた際に「経営理念を忘れていたことに自ら気づき、見直すことで風土に働きかけを行っている」こと、そして「ボトムアップ型で発生し、継続を試みようとしている」ことにある。 
原点回帰のような活動といえよう。
自社の社会的意義に立ち戻り、現状の業務とのつながりを思い起こさせる活動が動いていることが特徴的であり、「個の成長、組織の活性化、組織の社会性の同時実現」というKAIKA Awardsの考え方と重なるところが大きい。
環境や造園についての仕事を好んで入社した人が多く、共通の価値観を持つ社員が多い組織特性は、一般的には閉鎖的な発想になりがちであるが、会社ビジョンに取り組むところから始まった点で、はじめから社会に視点が向いている。自身の夢を語れるワークショップは特徴的で、個人、組織、社会のアラインメントをつなぐ好機会となっている。また、部門横断プロジェクト活動の活用、ワークショップの展開、ワークブックという使いやすいツールなどの具体的な活動は、ビジョンで描いた言葉のリアリティを高めている。そして、一定数のミドル層コアメンバーが下支えしている構造は、息の長いボトムアップ活動を想起させる。

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