株式会社LIXIL  事例にみるKAIKA経営の実践

KAIKA Awards 2015ではKAIKA大賞2組織、KAIKA賞6組織、特選紹介事例3組織を選出いたしました。
こちらのコラムでは順次事例をご紹介しています

KAIKA賞 株式会社LIXIL

「【世界で勝つ、人で勝つ】~リーダーを育成するLIXIL Leadership Training ~」

【取り組み概要】

LIXILでは、LTをすすめるに当たって、「リーダーシップ」について、「軸を創り、智を磨く」によって、「① ビジョンを示し、②戦略を練り、③コミュニケーションをとって、④粘り強く実践しやり遂げる」という4つのリーダーシップ行動が生まれ、“コト(変革)をなす”ことができると定義している。

「軸」は、LIXIL VALUES、価値観(Core Values)、生き様(Ways)、哲学(philosophy)などから構成され、社員一人ひとりが理念実現に向けて何をすべきかを考え行動する目標・指標・規範であり、「正しいことをする」ことを各自が徹底的に思考して創り出される。

「智」は、プロ・リーダーとしての特定分野の高い専門性(Domein Experties)、システム思考(System Thinking)、ビジネス洞察力(Business acumen)から生まれるものとしている。LTは、「軸」だけではなく、「智」だけでもなく、「軸を創り、智を磨く」ことの必要性と重要性を問い、徹底的に鍛え上げるプログラムである。LTは4階層に分かれていて、特定の年代層に偏らないリーダー育成を目指している。 ①Executive Leadership  Training(ELT)、②Senior Leadership Training(SLT)、③Junior Leadership Training(JLT)、④Fresh Leadership Training(FLT)があり、それぞれの階層におけるリーダー候補を発掘し鍛えるために 新入社員から経営層まですべての世代を対象に研修を実施している。また、2015年からはELTをグローバル化した【G-ELT Basic】と【G-ELT】を新たにスタートさせた。

Training(研修)は、一度きりの研修ではなく、半年以上にまたがる数回のワークショップと全期間を通したアクションラーニング(チームプロジェクト)で構成されている。ワークショップ前後にはアセスメントを行っている。終了後にはフォローを実施し、「リーダーシップの旅(リーダーになるには1万時間のエキストラな継続的な努力と学習が必要だという考え)」の現在位置や、次の目標確認を行うなど、きめ細やかに参加者に働きかけを行っている。

課題の例としては、LIXIL新規事業プランの策定や個人の価値観の探究を通して、「グローバルに通用する リーダーシップとは何か?そのために何を強化・改善すべきなのか? 」などがある。

さらに、頭の中への働きかけだけではなく、エモーショナルな部分に刺激を与える機会も用意しており、会社内の環境とは全く異なる環境下で五感を刺激し、インスピレーションを活性化させ、そこでの気づきや感覚を後々まで印象強く残そうとしている。ELTはモンゴルの大草原、SLTは東北の被災地、JLTは西湖(富士五湖)、FLTは海外新興国等でプログラムを実施している。日常のビジネスとは異なる非日常的な空間を体感する中で、本来の自分自身の価値観・らしさ・生き様・持ち味などを徹底的に見つめ直す機会としている。

ビジネスがグローバル化し、「製品やサービスを通じて世界中の人びとの豊かで快適な住生活の未来に貢献する」という理念を実現するために、どのような環境下でも十分に力を発揮する人材、特に変化・変革を起こすリーダー育成のために、世界で戦える人材を社内で養成すること、また経営理念実現のための人的アプローチで、推進は全社体制で実施している。そのステップは、①部門にてPODを実施しその年度のLeadership Training参加者を選出、②経営トップが最終確認し参加者を確定、③Human Resources人材開発部にて各 Leadership Trainingを企画、実施、運営している。

KAIKAポイント

LIXILの”LIXIL  Leadership  Training(以下LT)”は、これからのビジネスで勝ち進んでいくため、様々な 変化に柔軟且つスピーディに対応し、組織をリードしていく人材作りを目的としている。頭で理解するだけではなく、自ら先頭に立ち、明確なビジョンと戦略をわかりやすく伝え、組織に活力を与えながら、グローバル な経営環境下でも変革を実現していく経営リーダー候補であることを求めている。一般的な次世代ビジネスリーダー育成策のように管理職で30代後半以降などと対象者を限定するのではなく、グループ各社の様々な職種と年代層から候補者たる受講生を選抜し、組織的かつ計画的に育成していくことで、社内リーダー候補としてのプール層を分厚くして、グローバルな競争状態で戦いうる強いリーダーシップを発揮できる人材を輩出す ることを目的としている。

半年から1年間に及ぶ長期プログラムのコンセプトは「軸を創り、智を磨く」。対象者は20代~部長層までの4階層に分け、半年毎に開催するPOD(People & Organization  Development)と呼ぶ経営トップとライン

責任者の議論を通して選抜している。また同時に、選抜された対象者だけではなく、社員一人ひとりが自発的にリーダーシップを発揮することを目指し、キャリアの節目に教育を実施するとともに、学ぶ意欲に応える選択制のプログラムを3種約700コー スを用意して、全体の底上げも図っている。

審査委員会コメント

経営・人事のトップが明確なコンセプト(自身の軸を創り智を磨く)、戦略(ボトムアップよりリーダー育成を重視、良い人を勝つ人にする)を持って直接推進している点が素晴らしい特徴である。会社としての本気度、成果につながる可能性が示されていて、5社統合後の状況に合った施策として非常に力強さがある。軸と智をコンセプトにしている点と、そこに参加した人の成長ストーリーは感銘するところも多く、この層が厚くなったときの企業活動には大いに期待がある。

本プログラム自体が社内に良い意味での競争(切磋琢磨)の雰囲気を醸成している点、また研修を受けた者が実際に職場で優れたリーダーシップを発揮するという成果も出てきており、その効果は大きい。参加者への刺激の与え方は徹底しており、そこには全社員のボトムアップよりリーダーを育てることが組織へのレバレッジになるという明確な戦略と基づいている。研修後の異動・昇格に結びついている所は大きな特徴であり、個の成長と組織力とを連動させていく一つのモデルである。

また人事部門がチームでプログラムを担当しており、様々な知恵や工夫が持ち寄られている点は、内容の継続・発展性に確かな布石であろう。上位層は研修後の異動配置を組み込んでいることから、このプログラムの良さを経験した人が次世代経営層になっていくことが予想され、リーダー育成への強い想いと実際の輩出が継続していくことは見込まれる。

また、リーダーたちから派生する社内外での変化、そしてそれによる同社の生み出す価値の進化という点である。研修受講者が仕事一本槍ではなく、社外も含めてさまざまな人との繋がりを意識しはじめている点は大いに伺えた。軸と智にアプローチするプログラムの特色は、個人が自身の仕事を見つめ直して軸を見つけることを促しており、そこから社会に価値を生み出す意識は自然と醸成されているものと思われる。この先に、様々な事業領域でより社会に影響を及ぼす活動が生み出されることが期待される。

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