株式会社日本レーザー 事例にみるKAIKA経営の実践

KAIKA Awards 2015ではKAIKA大賞2組織、KAIKA賞6組織、特選紹介事例3組織を選出いたしました。
こちらのコラムでは順次事例をご紹介しています

KAIKA賞 株式会社日本レーザー

「社員の成長が企業の成長  ―  進化した日本的経営の推進」

【取り組み概要】

JLCの取り組みにはいくつものユニークさがある。MEBO(Manegement and Employee Buyout:従業員による企業買収・経営)以降の業績は以前より向上しているが、為替レート等によっては赤字転落のリスクや、海外メーカーの戦略によっては商権・商材を失うリスクが高い。そのため常に新規事業や新規商権を獲得できるように努め、企業として存続できるように、ビジネスモデルの構築、経営戦略の見直しを常に行っている。 そして、赤字を絶対に出さないとの言葉が社長からは強く発せられ、社員の徹底した工夫や行動からリーマンショックも乗りこえてきている。

社員の自ら学ぶ力は高く、海外の最先端のレーザーに関する機器を導入するために必要な英語力は必須となっており、TOEIC500点未達成の社員は昇格も昇給も行われない一方、取得点数に応じて月額手当が支給されている。また海外メーカーおよびパートナーへ、営業や技術研修を受けるため積極的に出張させているほか、事務員やアシスタントにも海外出張を経験させている。

MEBOによる独立と同時に(2012年改定)、和英両文のCREDO(経営理念、社長からのメッセージ、社員の原則、行動規範等についての規定)を発行。また項目に基づく総合評価表を作成し、理念の体現度、働きに関する契約の実践度について評価している。本人評価と上司や役員評価とのギャップも本人にフィードバックして、成長への動機づけにしている。

成果賞与(評価による考課賞与とは別に、営業員と技術員に支給)も支給しているが、受注計上した者が配分割合を決めるユニークな仕組みを持つ。業務内容によっては社内の関係する部署の支援を受けることもあり、見えにくい貢献度を評価し、処遇につなげる仕掛けともいえる。利他の理念を具体的に推進し、チームワーク を重視しつつも、努力と結果に応じた待遇する制度として機能している。

JLCでは女性社員が妊娠第1子出産で退職した例がない。全て産休・育児休暇を取って復帰している。ただ、管理職や営業が産休・育休の間に業務が滞り業績が悪化することも考えられるため、必要な担当業務や役割には、二人の社員で担当するダブルアサイメントを導入している。さらに個々の社員は担当できる業務を複数持つというマルチタスク制度を導入し、人件費増加と業務停滞のリスク管理を両立させている。

全社の一体感、連帯感を高める工夫として、全社員が参加するイベント(1月の事業計画発表会、4月の周年パーティ、7月のサマーイベント、秋の社員旅行、年末の忘年会等)を開催している。支店のパート社員も交通費を会社負担で参加している。周年パーティや忘年会には、清掃会社から派遣されている清掃員も招待している。また雇用契約を問わず、誕生月には本人と家族に向けて、社長直筆のメッセージカードとギフトブックを贈呈している。

2007年から、一斉メールによる「今週の気づき」という制度をスタートさせ、トラブルから何を、どう学んで、今後どうするかという気づきを共有している。上司のグループ長と担当役員から返信している。社員自身のみならず、返信する側の上司にとっても成長への「気づき」となっている。

KAIKAポイント

JLCは社歴47年・社員数60名・年商40億円の技術専門商社であり、人数ならびに売上としては中小企業規模だが、世界10カ国80社をパートナーとしており、米・独企業には出資して提携を深めている。自己資本比率が50%以上と財務的に安定した無借金経営を誇り、世界各国の企業との相互理解と世界平和へ貢献するという使命を果たすべく取り組んでいる。

会社は誰のものだという問いに対して、どのように答えるかは難しい。株主のものであるとか、顧客であるなど、様々な回答があるが、「会社は社員のものだ」という意識を社員に浸透させ、経営を実践している。そのために経営情報の公開化をはかり、自主的な目標設定と共に経営活動を実践している。社員による自社株買いを実施しており、雇用形態にこだわらない出資制度は、日本で唯一であるといわれる。創業者など会社オーナーや支配株主そして親会社も存在せず、社員が全体で経営するという理念と実践で、雇用については70歳まで働ける定年再雇用、再々雇用制度を持っており、生涯雇用化を実現させるべく取り組んでいる。また雇用の多様化ということでは、女性社員の割合が30%を超え、管理職など幹部に占める女性割合30%を上回っている。「進化した日本的経営」の理念を標榜し、多様な社員雇用と活用のための人事制度を実践している。

<本事例を取り上げた背景…審査委員会コメント>

資本主義と民主主義と人本主義。この3つの要素が合成された姿が体現されていると感じられる。経営の方向性や従業員への期待をトップが明確に描いて伝え、透明性の高い人事管理を行うことで、従業員のコミットメントを促している。従業員としては「頑張りどころ」が見えやすい。「人を大切にする」とは言っても温情主義的ではなく、合理的であり、そこに「進化した日本的経営」の特質を見る。

社是である「社員の成長が企業の成長」において、社員自身が自分は成長していると感じており、また企業も円安にもかかわらず黒字かつ3年連続で売上が増加する見込みであることから発展も実現している。「社員満足優先」において、社員は概ね待遇には満足しているが、成長においてその満足度を高め続けることには挑戦中でもある。この経営の考え方は中小規模の企業を中心に、応用・汎用化も可能だと考えられる。

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