明豊ファシリティワークス株式会社  事例にみるKAIKA経営の実践

KAIKA Awards 2016ではKAIKA大賞2組織、KAIKA賞4組織、特選紹介事例3組織を選出いたしました。
こちらのコラムでは順次事例をご紹介しています

KAIKA賞 明豊ファシリティワークス株式会社

「建設業界における発注者支援事業『=コンストラクション・マネジメント(CM)』を我が国に定着させる経営課題への取り組み」

【取り組み概要】

明豊ファシリティワークスでは、20数年前、デジタル化による「隠し事の出来ない社会」への変遷を強く実感したことから、競争優位性として「可視化の実践」を掲げ、プロが顧客側に立つCMビジネスの展開を行っている。その施策としては、業務遂行とともに仕事の内容を見直し、さらに人的な成長を伴った、「情報の可視化」(全社員のアクティビティの可視化とCM事業の生産性の定量化)、「ホワイトカラーの生産性の定量化」(社員による情報利活用の支援に特化したデータ活用推進室設置)、「納得性のある人事評価制度の設計と運用」(アピール機会を提供し、直属上司が被評価者の評価結果を最終評価者会議でプレゼンテーションし、最終評価結果を丁寧にフィードバックする)、「テレワーク活用」(働きやすい環境を提供することで優秀な人材を確保)の4つの仕組みが基本である。同時に、仕組みが機能するための文化風土への働きかけも行われ、ハード施策とソフト施策の両輪のバランスを融合させ、顧客や社会を巻き込んでいる。

情報の可視化としては、顧客に建設プロセスの全てを明らかにし提示する明朗会計を整理し、「フェアネス、透明性、顧客側に立つプロであれ」という企業理念を明文化して、企業風土として定着化させることに努め、会社の目指す方向性を全社員で共有している。実現のための仕組みとして、ABC(Activity Based Costing)/ ABM(Activity Based Management)に基づく、全社員アクティビティ可視化と生産性を定量化したシステムを「明豊マンアワーシステム」として自社開発している。専門性と負荷をフィーとして算出し、事前に顧客に提示し、承認をうけた上で、プロジェクトを開始している。個別案件毎に当初に顧客と約束したフィーを固定し、顧客と共に顧客プロジェクトの品質、工期、コストを最適化している。

ホワイトカラーの生産性定量化としては、各プロジェクト終了時の顧客満足度調査と当該プロジェクトメンバーの行動分析を通じて、プロジェクトから学ぶために、個別プロジェクトにおいて、過去の成功事例の行動や負荷に倣った予実管理をすることで、CMサービス品質の維持向上と、アクティビティ改善をするという個人成長を支援している。またプロジェクト立上げ時からプロジェクト毎の収益性を共通の尺度で可視化し、各プロジェクト担当者やチームリーダーが経営者視点で課題解決可能なプロジェクト管理システムを自社開発している。そして社内の情報ファイル状況を熟知し、データ分析に強みを持つ組織を、IT部門とは別に設け、各担当者の要望に基づいた情報を整理した上で、分析データを各担当者へ提供している。可視化された情報を社員と共有し、サービス品質や社員個々の負荷に影響する稼働率の最適化を図り、併せてCM事業の生産性向上とサービス品質向上を両立させながら収益向上を実現、それを社員の処遇に反映させている。さらに成功事例を社内で共有、横展開し、学習する組織として機能している。

人事評価制度の設計と運用としては、社員にプロとしての達成感を持って日々の業務に取り組んでもらいたいと考え、納得性を目標とした人事評価制度を構築・運用している。期初に上長と協議のうえ自らの課題を設定し、半年経過後に中間レビューを行い、期末に会社業績へ貢献したデータと本人の成長の度合いを整理した上で、面談にて上司へアピールする。1次・2次評価者は、社長を含めた他の部署の部門長が参加する最終評価者会議で、部下一人ひとりの評価についてプレゼンする。審議の上、多数決によって最終評価が決定される。このプロセスの中で各人の評価内容が、全社的視点で適正化されている。最終評価結果を上長が被評価者へフィードバックし、改善につなげる。的確なフィードバックが行われているか、外部の人事コンサルが被評価者の相談に乗る。

テレワーク活用としては、10数年前から顧客との信頼関係構築を目的として情報の可視化を進め、ペーパーレスとテレワーク環境を構築し、働き易い運用を図り、優秀な人材の確保に繋げている。本人が持つ権限の範囲ほぼ全部がオフィス外でも利用出来るテレワーク環境が整っている。プロジェクト管理に関しては、顧客、設計者、施工者などの関係者が、必要な情報を必要な時に自らのアクセス権に基づきインターネット上でセキュアに確認し、共同作業できる環境を提供しており、100ヶ所を超える拠点の同時進行プロジェクトや、海外に決裁権がある大型プロジェクトでも、プロジェクトを円滑にマネジメントすることが可能となっている。

KAIKAポイント

CM方式とは、建築や設備のプロであるコンストラクション・マネージャー(以下CMR)が、技術的な中立性を保ちつつ、代行者または補助者となって発注者側に立ち、基本計画や設計検討、工事発注方式の検討、業者選定支援、工程管理、コスト管理など各種マネジメント業務の全部又は一部を行うマネジメント手法である。CMRは、顧客が抱える様々な課題について解決方法を考え、取り組むことで成長し、その成功事例を組織に蓄積し、横展開することで、会社が提供するサービスレベルを高度化している。

マンアワーシステムやプロジェクト管理システムにより、プロジェクトメンバーの負荷の予実管理精度が年々向上し、一人ひとりに「プロジェクトシナリオ」を読み切る能力が着くことによって、収益改善に貢献すると同時に、サービス品質や顧客満足度も向上している。またデータ活用推進室を設置し、社内に蓄積された情報を積極的に活用することによって、過去のプロジェクトからの学習が図られている。つまり、事前にクレームやトラブルを回避することが可能となり、プロジェクト担当者の過重労働の回避にも役立っている。テレワーク活用は生産性の向上のみならず、女性の活躍や優秀な人材の確保にもつながっている。新規構想計画系の優秀な人材採用も進み、顧客の事業化支援やプロジェクトの早期立上げ支援も可能となっている。高い専門性を必要としない小規模プロジェクトでは、大企業の顧客施設部門担当者を一定期間当社オフィスに受け入れて、顧客が顧客自身の業務改革にCM方式を活用するなど、社会からの期待も高まってきている。

審査委員会コメント

36年前の創業時からのミッション・ウェイ体現に妥協がないので組織のDNAとして根付いている。事業としても、フェアネスという価値観を体現し、増益基調を確保している。引き合いの三分の二は、リピートもしくは紹介であるという高い顧客満足度がある。早くからITを活用するなど新しい働き方を同時に推進、奨励しており、効率性、効果性がみられる。特にペーパーレス化は徹底されている。また徹底した定量化も評価に値するといえる。

施主(顧客)側に立ち、建設技術の専門能力を有したCMRや技術者が、施主の代行者として建設請負業者と対等に建設プロジェクトを最適にマネジメントできるように事業システムを開発・進化させてきた事には社会的意義がある。全体最適から見た建設コストの低減、価値向上など基本・本質的な役割に位置付けている。CMの日本における定着化という点で社会に一石を投じている面もある。

データ化、可視化を進めながら個人の専門性と、組織の共有化をうまく進めているようにみられる。また、単なるハード面の整備だけでなく、繰り返しの面談等により、ソフト面での個別対応も行い、ハードの浸透と組織活性の促進が行われている。

プロフェッショナル集団としてのプロジェクトと役割機能、プロジェクト成果、パフォーマンス(生産性)が定量・可視化されており成長目標を通して成長が促されている。経営安定化により平均年俸水準の向上を全社目標に掲げ、社員と共有している。プロフェッショナルな精鋭集団が顧客価値創造につながっている。

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