とやま観光未来創造塾事務局(富山県観光課内) 事例にみるKAIKA経営の実践

KAIKA Awards 2016ではKAIKA大賞2組織、KAIKA賞4組織、特選紹介事例3組織を選出いたしました。
こちらのコラムでは順次事例をご紹介しています

特選紹介事例 とやま観光未来創造塾事務局(富山県観光課内)

「とやま観光未来創造塾」

【取り組み概要】

北陸新幹線開業効果を持続・発展させるとともに、外国人旅行者の急増やグローバル化のさらなる進展を見据え、おもてなし力の向上、お客様に満足いただける観光ガイドの育成、魅力ある観光地域づくりをリードできる人材育成、地域資源を生かしてインバウンドツーリズムを企画・実施できる人材の育成を目的に本塾は立ち上げられた。すなわち、地域における次世代の観光を担う人材層づくりである。内容として、活躍の場に合わせた「観光おもてなし入門コース」「観光ガイドコース(中級専攻、上級専攻)」「観光魅力アップコース(食のおもてなし専攻、観光地域リーダー専攻)」「グローバルコース」の6コースが設置されている。このうち、観光ガイドコース、観光魅力アップコースには、担当の主任教授を設置するとともに、観光地域づくりの実践者など県内外の一流講師陣を招聘している。そしてインバウンド需要に対応するために外国人旅行者受入に関する充実した講義、座学だけではなく先端的な事例講義や体験・視察、ワークショップ形式など、実践的で、今後の活動をにらんだものとなっている。

観光おもてなし入門コースは、おもてなしの心を学び、話し方や接遇など心を形にするコミュニケーションの実践的な技術を身につけることを目的としており、観光ガイド、宿泊施設、観光施設、お土産店の従業員、交通事業者等を対象としている。

観光ガイドコースは、中・上級の2コースに分かれている。中級専攻は、高度な観光ガイドを目指す人に加え、ボランティアガイドの指導的役割を果たすガイドを目指す人なども対象としている。上級専攻では、ガイドコースの企画、コーディネートに必要な技術の習得を目指し、中級認定ガイド、観光ガイドを業とする者等、観光ガイドコースの企画開発ができる高度なプロとしての観光ガイドを目指す人を対象としている。

観光魅力アップコースは、宿泊施設や観光施設、観光地の魅力向上をはかるために、高度なおもてなし・観光知識、地域づくり、観光商品造成等に関する講義、先進地視察等を行う。

他にも、食のおもてなし専攻では、旅館・民宿の経営者、女将、料理人等を対象として、富山の食の魅力の高付加価値化(地元食材の活用など)、食材・料理の説明力に関する講義、実演講習等を実施している。観光地域リーダー専攻では、新たに観光事業に携わろうとする者、観光事業の展開に課題を持つ事業者等を対象に、観光地域づくりに活躍する人材(リーダー)の養成を行っている。

もう一つのグローバルコースは、着地型ツアーの企画・実施について県内で起業意欲のある者で、かつ外国語でのコミュニケーションができる者を対象としており、事業化を目指した内容となっている。訪日外国人旅行者の目線で地域の観光素材を発掘し、磨き上げ、訴求する観光商品を企画・販売する技術の習得を目指している。先進的な事業者の元へ6ヵ月派遣型のOJT研修を行い、ビジネススキル習得とツアー事業を実地で経験することとしている。

KAIKAポイント

とやま観光未来創造塾は、富山県の観光地の魅力向上に向けて、おもてなし力の向上、観光ガイドの育成、地域づくりやインバウンドツーリズムをリードできる人材育成を目標として始まっている。当初、おもてなし入門コース、観光ガイドコース、観光魅力アップコースを開設し、その後6コースとなっている。塾では観光事業の従事者を主な対象にしており、他の「とやま起業未来塾」(商工業)、「とやま農業未来カレッジ」(農業従事者)との連携も進んでいる。講師は大学教員や、有識者など。各コースは10〜20名で構成され、修了者は5年間で370名にのぼっている。

コースは約半年実施され、前半は講義・実習、後半はワークショップやアクションプランを作成し、その後の実行につなげている。塾の修了生は、立山の雪の大谷時期限定のバスツアー、とやまのおいしい朝ごはんキャンペーン、古民家活用の宿、タクシーでの観光案内などの活動を実際に行っており、継続的な取り組みとなっている。それらの活動は一過性のものではなく、富山県の公式観光サイトで紹介されたり、継続ネットワーク支援、ガイドパンフレットの発行などでも後押しされている。また、参加者間のつながりができることで、自主的な情報交流の輪が広がり、年度を超えた集いも持たれることで、観光についての幅広く、厚いネットワークができあがっている。

審査委員会コメント

5年にわたって継続しており、継続することで見えてきたニーズに対して講座内容をフレキシブルに修正している。単に個人がおもてなし、ガイドができる、というだけではなく、企画・運営というエリアまで踏み込んだ人材育成を行っている。観光ガイドコースはテーマとしては他でも行われている活動であり、表面的には新規性は少ないが、事務局が入り込み、常に改善工夫がなされている。グローバルコースは、修了後に富山県内での起業が条件であり、インバウンド向けの観光に成功している先進的な事業者の下で数か月泊り込みながらの事業計画研修等、実践的かつユニークな内容である。成果・効果も徐々に生まれている。新しいツアーや観光資源の発掘を行うことができる人材を輩出している。

観光という視点から地域活性化に貢献している。コース内容も人材育成側面からみて実践的である。また、県民の関心の高まりがうかがえる。今後継続的に塾生が育成されれば観光を主体とした街づくりモデルとして社会的な影響を生み出していくことも期待出来る。

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