帝人株式会社 事例にみるKAIKA経営の実践

KAIKA Awards 2016ではKAIKA大賞2組織、KAIKA賞4組織、特選紹介事例3組織を選出いたしました。
こちらのコラムでは順次事例をご紹介しています

特選紹介事例 帝人株式会社

「One Teijin Award」

【取り組み概要】

取り組みのきっかけは、2013年度のある全社行事の場で、役員との質疑応答の際に、営業系の女性社員が、「会社はOne Teijinと言うけれど、事業や組織横断的な動きを評価するような仕組みも風土も無いのでは」、という声を上げたことに始まる。その場で、マーケティング最高責任者の役員が、半年以内の制度整備を約束し、人事評価制度への組み込みと並行して、取り組みが行われることになっている。

プロジェクトは、担当者(人財開発業務担当者)を中心として、段階ごとに様々な部署に協力を得ながら推進していったが、主管部署機能は、組織・キャリア開発グループならびに人事メンバーが担っている。この活動のオーナーは、組織運営の最高責任者であるCEOであり、人事・総務本部長(人事役員)が共同オーナーとして位置づけられる。つまり、経営課題の一つとして認識され、取り組まれている。実務的には事業がグローバル展開をしているため、国内の事業所と、各国のHR責任者や広報担当者が活動をとりまとめている。社内広報には、コーポレートコミュニケーション部も関わった。

表彰までの流れとして、国内予選は、各事業から選抜された現場社員で構成された選考委員会による一次審査、その審査により選抜されたものを専用WEBページに掲載し、社員投票による二次審査を行う。グローバル選考は、関係する事業や経営戦略部、マーケティング戦略部、技術本部などの意見聴取をした上で、事務局がCEOと相談して決定している。

2014年度は、日本国内中心に募集し、仕組みの確立を図った。アイデア部門では、いままで実行していない自由なアイデアを募集し433件が集まった。社員投票は延べ15,000票が投じられ表彰した。アクション部門では、既に始まっている垣根を超えた協働の事例を募集し、32件の応募が集まり、CEO決定で表彰対象を決定した。2015年度は、海外各国にも紹介を広げ、グローバルでのOne Teijinの展開に取り組んだ。アイデア部門の応募総数は368件(65件が海外から)。CEO賞は日本、アメリカ、ブラジル、タイ、中国のアイデアが表彰された。アクション部門では、新しい取り組みに絞ったものの、36件の応募があった(11件が海外から)。2014年からドイツ、オランダが被表彰国に加わった。

KAIKAポイント

帝人では、組織のサイロ化を打破し、グループ会社が一体感を持って、グループ全社員が組織や事業、地域・国境を越えて持てる力を結集し、お客様に対して一丸となるため、また、事業融合のビジネスで社会に新たな価値を創るために「One Teijin」を掲げている。しかし本制度が発足する時期である2014年以前には、具体的に体現する風土はまだ見えておらず、自由に取り組める仕組みもなかった。

そこで、2014年度から2016年度の3年に期間を限定して、One Teijinをテーマとしたアイデアとアクションを公募して、その内容を公表して表彰するOne Teijin Awardを開催した。One Teijinを実のあるものにし、「誰もが自由に意見を発信し、失敗を恐れずに行動できる会社」になることを制度上の目的としている。対象は、帝人グループで働く全社員(派遣・契約社員・海外含む)で、テーマはアイデア部門とアクション部門の2つがある。2017年度以降も、「One Teijin」に関連するテーマに限らず、社員が意見や事例を発信する場として、内容を見直しながらも継続して取り組んでいくことを予定している。

審査委員会コメント

3年限定のプロジェクトであるが、組織の中での位置づけや連続性が意識されている。海外展開について、既存のレポートラインを使わずに、個別に参加意思を取りつけた点は、プロジェクト成功に対する力強さを感じる。堅く真面目な面のある会社で、遊び心のあるイベントがあまりなかったという声も聞かれるなか、雰囲気づくりと発信をこまめに行い、関心を持ってもらい、参加しやすいように、真摯で地道な活動を行っている。

大企業にありがちな縦割り組織の中で、社員一人ひとりの「反論」に近い声を汲み取った活動である。これを機会と捉える社員が多くあらわれ、隠れていたニーズを掘り当て、初年度は100件の目標に対し、433件の応募があった。

本プロジェクトから、参加者同士の横の繋がりが生まれ、事業会社の枠を超えた、グループ会社間の横連携が生まれている。成果として、いくつかの試作品も完成している。新規事業開発やイノベーションが起きる場として、一つのモデルと成り得る。自ら自由に発言を行い、失敗を恐れず行動する風土が少しずつ広がっている。これまでアイデアがあっても、声を上げる機会がなかった人たちが、賞によってお互いに刺激し合っている。

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