コラム「働き方シフトによる組織づくり」Vol.2

Vol.2  「多様な働き方」を考える

大きな変化を目の当たりにしている

世の中の変化など予測がつかないものだといわれることがある。後ろ向きに進むジェットコースターに乗っているようなものだということがある。当人が見ている方向は、今までたどってきた道や過去。そこから今後をある程度予測することはできるのだが、つぎの瞬間に何が起こるのかわかりはしない。右と思ったら真っ逆さま。一寸先は闇なのだ。だからといって、何もしないと言うことはあり得ない。

さて環境変化に対応するのが、組織の目的だといわれることがあるが、一体どのような変化を重視すべきなのだろうか。2015年の世界に訪れている変化とは、どんなものがあるだろうか。ユーロで揺れるヨーロッパ圏が現在の形で維持されるのか、TPPだってどうなるか、そしてエネルギー事情も不確定要素が強く読み切れるものではない。予期してなにかを行ったとしても、必要十分ではない。それでも過去からの大きなトレンドが急に変わることはないだろう。そのひとつとして、インターネットの利用拡大があげられる。情報通信網としての成り立ちから、知の宝庫~データベース化、そして場所を問わないネットワークの確立の広がりを見せ、データベースへのアクセスを通じて、ものや人の動きや関係性を利用できるようにまでなっている。印刷技術は世界三大発明の一つだと言われる。なにかの発明や発見があったとしても、それを伝えるすべがないと拡散しない。文字や絵に表せば口伝の縛りを免れる。情報が飛躍的に正しく早く伝達されるようになった。

一昔前、情報源へのアクセス方法は、百科事典や辞書または図書館と決まっていた。ビジネス上でも一昔前の情報伝達手段は、電話や郵便そしてファクスなどだった。アナログからデジタルへの移行は、仕事のあり方を根本的に変えるだけのインパクトを持っている。

ドイツは技術を大切にする文化風土を持ちながら、国際的な競争力を有している。とくに評価が高い機械産業等の分野での生産性をさらに高めるべく、インダストリー4.0という産業改革プロジェクトを産官学で進めている。製造業の面では、仕入れ・発注・物流や工場ライン・プラントのバリューチェーン情報を一元化し、AIによって自動管理する仕組みだ。インターネットや情報機器そして情報処理技術の進化なくしてあり得ないことだ。

なにが変わっていくというのだろうか

従来のマネジメントが変わることを意味する。マネジメントとは決まったことをやりきることだといわれることがある。業務を分割細分化することで効率を高め、成果を高めていくことは、徹底的に業務の効率化を進める。たしかに結果を生み出すための方法論や行動様式が確立されているならば、それに従った方がよい。たが、一方で人から考える余地を奪うことでもあり、人間疎外という人の機械化を必然化することともいわれるが、決まった仕事のすすめ方があるということは、その方法をしなければならないことであり、きまったこと以外の妙な動きをすることは望まれない。よしんば違うことをするならば、それは罰せざるを得ない。

やるべき事を組織と上司が決め、想定外のことが起これば管理監督者が判断する。そして判断のもととなる情報の入手と発信は上司の権限において行われた。答えを知らない人が、下手に悩むより、わかっていて経験を積んだ人が判断をくだす。それが、早いし確実なのだ。

ところがインターネットによって、各種のデータベースに無制限にアクセスできるようになった。

ある程度の困ったことや問題の答えを知りたければ、インターネットのどこかに解決策がある。ただし偽情報も多いわけだから、どこか埋まっている真理を掘り当てる腕が必要だ。今の時代は圧倒的に答えにたどり着けるスピードが速まっている。そして情報リテラシーは圧倒的に若い世代に強みがある。となれば本来の管理者の業務である成果を高めるための支援が果たせないということになる。そこで何が起こっているかというと、上司を経由せずとも、ある程度の情報が収集できて、近似解の判断が可能になるというマネジメント革命が起こっているのだ。

人事を取り巻く変化への対応

1970年頃までの日本の人事としての課題は、採用とともに組合交渉を問題なく行う労務対策が重要な部分を占めていた。事実、労務部門を経て経営トップに至る道筋もよく見られた。生活基盤としての賃金獲得と雇用安定が重要な要件であったが、一定の賃金水準が確保され、中流意識が芽生えるようになってくると、目標管理制度の導入など、だんだん自主性や裁量要素の高い仕組みや取り組みが見られるようになってきた。 このことは、生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求、承認の欲求そして自己実現の欲求に至る、人の欲求を充足する段階について述べたマズローの説を思い起こさせる。

20150629 KAIKAコラム2_修正版日本の人事の特徴と言われたものについていくつかあげてみよう。「終身雇用」・「新卒採用重視」・「労使協調」・「年功序列」・「男性社会」というものだ。1940年代から70年代頃までは、日本国内でも生産人口とともに消費も拡大していたことからも、間違いなく人事の特徴と言われる考え方と仕組みは機能していた。だが、これからの時代は日本国内の人口が間違いなく減少していく。いわば人口減とインターネットの大衆化という時代の中で、グローバル化という黒船が人事の国際化を促している。人事が国際化すると、業務の効率化とともに、多様性としての高齢者ならびに女性並びに外国人労働者の活用を要請している。

人事労務につきものなのが、労働法をはじめとする規制や慣習である。それは人に対して身勝手な行動をとることで、危害や身体的にそして健康で文化的な生活を行う権利を損ねかねない。人に対する不安を和らげるためには、罰則などを含めての規制が必要であるだろうが、相反する側に自由と裁量がある。上記のような変化への対応を行うためには、従来の考えとのうまい距離感を保つ必要もある。テレワークやリモートワークは、管理者が対象者の仕事の取り組みについて、共通の場所で状況をいながら指導して結果を出させる仕組みではない。そこに従来との違いを理解しつつ、問題点を意識しつつ、よいところを取り入れる必要がある。新しい概念を取り入れ、新しい人材の要求に応えていかなければならない。

(「『働き方シフト』による組織づくり」研究会 事務局)

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