コラム「働き方シフトによる組織づくり」Vol.3

Vol.3  「多様な働き方」を考える

テレワーク・リモートワークを取り巻く状況~求められる理由

景気の過剰感から人手不足が明らかとなっていて、人気のない業界に人が集まらなくなっている。 いわゆるブラック企業が問題視されるのだが、その中で長時間労働が問題視されている。過剰な労働時間は身体的なストレスを引き起こし過労死と直結し、個人にとっても管理する会社にとっても責任が問われるからだ。なぜ長時間労働が引き起こされるのかという議論の中で、職場の風土として、終業時間になっても帰られる雰囲気がなく、早めに帰ると仕事ができないし、チームへの貢献意識が低いとみなされると感じさせることが一因であるという。人目を気にすることが、効率的な仕事のしかたを阻害している面があるのだ。

7月1日から、「ゆう活」と題した取り組みが始まっている。夜になっても職場から帰れずに時間や仕事にばたばた追われるなら、朝型に仕事をシフトしてゆとりを持って、平日に職場外の生活を楽しもうという試み。職場でも上司の目を気にしたり、部下の手前帰るわけにはいかないなら、大手を振って帰ることができるような空気感をつくろうという事なのだろう。もちろん仕事の仕組みやマネジメントのあり方にメスを入れなければ、掛け声だけの取り組みになってしまうのだが。

組織管理の方法論の常識として、メンバーが一緒に、同じ場所で、仕事するのが当たり前という考え方がある。それは、組織効率を高めるためには、号令一下で動く体制が成果を高め、組織効率をあげるとみなされているからだ。管理責任者が、人や情報そしてカネなどの管理を積極的に行うことによって、仕事を回していくことが基本だから、目の届く範囲に集まっているとういうことだ。たしかに一つの場所で一緒にいないと仕事ができない工場や小売業のような形態もある。ただ近くにいるから安心というだけの場合も往々にしてある。実際に目の前にいるから管理しているのかというと、近くにいることと、成果が上がるように管理しているかどうかは違うのだ。目の前から人が見えなくなったら、管理が過剰になる場合がある。人を信頼していなかったり、遠隔地で仕事をさせるための仕組みと、心構えが欠如しているのだ。目の前にいなくても仕事が回っているという安心感は得がたいものがあるだろうが、少しずつ状況は変化しつつある。事務所においてもフリーアドレス制を採用する企業も増加している。目の前に部下や組織メンバーがいないことを前提としたTW/RWは、仕事のしかたを変え個人と組織の働き方を変えるきっかけとなる仕組みとなろう。

テレワーク・リモートワークの実態

自主的・自発性の発揮が期待されるTW/RWだが、どの程度導入されているかというと、在学型TWとして、週1日以上終日在宅勤務を行い、週に5時間以上テレワークを実施している人のうち、自宅(自宅兼事務所を除く)でICTを利用できる環境において仕事を少しでも行っている(週1分以上)の方では5.5%(「平成25年度テレワーク人口実態調査」国土交通省)。数字をどう読むかだが、制度的には知られているが、導入されている組織はまだ少数派ということだ。また同調査によると、育児や介護に利用している方が多いという。

いま少子高齢化が進んでいるなかで、育児や介護の重要性は、従来よりも格段に高まっている。そして共働きが当たり前で、所帯収入で生活するというスタイルが定着しつつある。また育児するにあたって、送り迎えの時間などを考慮した短時間勤務や、突発的な状況に対応するために在宅勤務を行うことで、子育て時期を乗り切るために、TW/RWを利用する方が増加している。女性の就業の特徴としていわれたM字型のライフスタイルから、継続的就業しながら子育ても行うというスタイルがごく当たり前になりつつあるのだ。そして、これらの取り組みが一般化してくることで、離れた(管理されない)場所で業務を問題なく遂行することが当たり前のこととなっていく。

テレワーク・リモートワークをすすめるに当たっての要点

TW/RWがどのような仕事で導入されているかというと、単独で完結する業務だけではなく複数の人が関わるチーム単位で業務を遂行するシステム開発やプロジェクト・設計あるいは事務管理でも採用率は高い。当然、営業や企画などの分野でも活用されている。活動範囲が広く、成果が評価に直結する営業スタイルの米国などでは、TW/RWが当然のものとなっている。

かってTW/RWを導入するにあたっての高いハードルであった、情報機器の導入や通信設備ならびにセキュリティーの問題については、ICTの発展により敷居が低くなった。その他、導入するに当たって、やはり評価などを気にする面があり、業務内容ならびに評価基準をはっきりと示す必要もある。また一定期間、組織から離れると社内事情に疎くなるという面も考えられ、活用に二の足を踏む面も見られる。いわゆる談論風発的な関係をどのように作るかも課題になる。

また労働時間が長時間化するなどの問題点も指摘されことに対しては、日本国憲法第25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」を示すまでもなく、健康管理の面から十分な配慮が求められる。

201507 KAIKAコラム3_修正版

(「『働き方シフト』による組織づくり」研究会 事務局)

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