コラム「働き方シフトによる組織づくり」Vol.5

Vol.5  新しい取り組みについて

 実験的に取り組みが進められてきたものの、セキュリティ対策や利用者や管理の面の難しさから活用が広がらなかったサテライトオフィスも、ようやく育児や介護への利活用が行いやすいことから、注目を集めている。またユニクロが10月から導入する週休3日制についても、定着率の向上から期待されている。

 長時間の通勤苦から解消されたり、育児・介護に利用できたり、離職率を下げるための施策であったり、あるいは成果を高め、生産性を向上させる意味からも様々な取り組みが進んできている。ただ各種の施策も絶対的な策ではない。使いように慣れてくると、生産性が落ちてくるのも事実だ。人は自分の仕事ぶりに何らかのチェックが働くことで、有効な成果を生み出せる。個人に任せきりになってしまうと無駄も生じる。一所で働くこと自体が牽制機能となっている面がある。ただし、生産性を高めるための牽制機能が、生産性を阻害する要因となることもある。

販売会社の仕事のみなおし~長時間労働への対応

 とある営業とサービスが主流の販売会社の営業所。午後6時になると電気を消して、よほどのことがない限り全社員が帰宅する。また休日出勤などは、ほぼ皆無である。ゆう活ではないが、家族との時間も十分に持つことができ、ワークライフバランスがすすんでいる。

 顧客サービス対応する営業所というと、21時を過ぎても煌々と明かりがついているのが当たり前。この営業所でもつい数年前までは、それが常識だった。時間外勤務が月に数十時間、休日出勤も常態化していた。営業社員ならば売上を少しでも伸ばすために、長時間勤務が奨励されていたし、サービス部門でも夜遅くまで対応していた。こういった風景は営業やサービス関連の営業所ではよく見られる。上司や周囲の顔色をうかがっての長時間勤務が当たり前なのであれば、解消すべきなのだが、一人ではなかなか言い出せない状況だった。

 この会社では、事業所の統廃合を契機に、勤務時間の短縮、休日出勤の削減を目標に取り組んだ。よく週1回のノー残業デーを設けるなどの仕掛けが紹介されているが、この会社で重要視したのは、人の意識に働きかけることであった。成果が上がるはずがないのに終業時間後訪問を行っていた。いままでの仕事のしかたが当たり前だから、そのやり方を踏襲していた。

 よくよく仕事の中身をみると、契約や絶対に紹介したい事例などをお伝えすることはアポイントをとって説明しているし、心意気も相手に伝わり成約率も高い。訪問しているように見えて、格好だけで時間を無駄にしている訪問が多かった。8時間しか働けないとなると、営業・サービス活動は時間内で行うし、メンバー間での協力体制が強固とならざるを得ない。上がるはずもないのにがんばっているふうを装うと評価も上がる。上司も奨励していた。逆に成果が上がっていようが、長時間働かないものは評価が落ちる。そんな妙な常識となってしまっていた。それでも売上が未達の場合には、ついついもっと長時間がんばれと言いたくなるところを堪えたところに、この営業所のすごさがある。個人と組織に根付いた仕事の常識を見直すには、結構強い意志が必要だ。

ワークシフトについて

 あなたの仕事のしかたは確立されているだろうか?早朝型であったり、仕事上の外部とのメール連絡は2時間に一度ずつ、一気に対応すると決めていたり、自分なりのルールがあるはずだ。いくつかの仕事を通じて、成果の上がるコツといったものを掴んでいるということだろう。環境・関係者・時間・道具や設備・手順・場所などの複数の要素を組み合わせることで、目標を達成し、成果を高めることができる。本来的には仕事のしかたにはいろいろな方法があってよいのだが、個人や組織の思いつきで事を進めると、全体最適にはなりにくい面もある。職場でも共通のルールというか、しきたりもあるはずで、たとえ強く意識されていなくても、それがないと仕事がうまく進まず滞ることもみられる。

 関係者が目の届く一つの場所で、上司の指示に従って、所定時間働くことで、成果が上がる仕組みとなっている職場ならば、それを徹底することが、最も正しいことなのだから、意識せず当たり前に行動できると成果が生まれていく。個人や組織としての仕事の様式となり、他者からは真似のできない強みとなる。ただし取り巻く環境の変化や、組織の構成が変わった場合には、常識となった仕事のしかたを見直さなければならない。業務改善的に捉えられることも多いが、パラダイム転換など前提が変わったりすることで、仕事のしかたが変わっていくことを称してワークシフトと呼ばれる。

 いままでのコラムでも触れてきたが、ツールの面での発展しているICTの活用、市場の広がりに対応するためには、従来の仕事の常識を見直す必要もでてきている。これはまさに従来の仕事のしかたを見直すワークシフトの必要性であるともいえよう。

(「『働き方シフト』による組織づくり」研究会 事務局)

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