コラム「働き方シフトによる組織づくり」Vol.6

Vol.6  KAIKA「働き方シフト」に関する活動から

テレワーク・リモートワークに関するコラムですが、KAIKAプロジェクトで取り組んだ活動を紹介して、ひとまず終わりにしたいと思います。一連の活動は、2015年7月から4回にわたって行われた「ワークショップ」、8月のテレワーク週間に合わせて実施された日本マイクロソフト社の「オフィス見学」、同時に開催されたテレワークに関する「座談会(パネルセッション)」という構成でした。

ワークショップ

 2015年7月から4回にわたって芝公園の日本能率協会において、14時から17時で実施されました。ちょうど暑い盛りのワークショップでしたが、延べ参加人数は109名。各回の参加者は毎回20名を超え、参加についての関心の高さが伺えました。参加者の属性としては、人事系、IT・情報系、実務系の方など、各種各様の方で、ひとつの部署に固まらないのが特徴でした。その意味では、いろいろな視点からの情報交換や意見交換がされたことの要因ともなったと思われます。すすめ方は、問題提起者からの投げかけを受けて、参加者間の意見交換と共有というスタイルでした。


・Part1『人事編』     ~多様なワークスタイルの実現に際して人事制度面で考えることとは
・Part2『業務分析編』   ~多様なワークスタイルを可能にする業務分析と組織設計
・Part3『環境・インフラ編』 ~多様なワークスタイルを可能にする環境と仕組みの整備について
・Part4『マネジメント編』 ~働き方シフトを活かすマネジメントスタイルを考える


少子高齢化・情報化の進展さらには経済・社会などの世の中の移り変わりが、TW/RWを含めた働き方に大いに影響を与えているということの認識に立って、マネジメントや人事のあり方について考える機会となりました。ワークショップでは他社との情報収集とともに、自社ではどのように取り組んでいくことができるのかについて考える場でした。

オフィス見学・座談会

オフィス見学
8月25日(火)13時半から、日本マイクロソフトでのテレワークの取り組みをご紹介頂くとともに、ビジネスセンターやオフィスの一部そして食堂などを拝見しました。テレワーク週間にあわせて多くの社員が、在宅勤務や社外空間でノマドワークに取り組み、そのなかでのテレワークでの気づきを次の展開に活かしていることなどについてもお話し頂きました。

座談会
オフィス見学と同日15時から、KAIKAプロジェクト室の山崎さんの進行で、日経DUAL編集長 羽生祥子さん、ヤフー株式会社人財開発本部本部長 斎藤由希子さん、日本マイクロソフト株式会社執行役人事本部長 佐藤千佳さん3名の方々による座談会が行われました。常に最適な働き方を模索している状況をそれぞれの視点から紹介されました。

働き方シフトに関するワークショップでの意見から

ワークショップではTW/RWは、管理するための手法なのか、自律を促す仕組みなのかといった議論も交わされました。また従来型の一所で集団で仕事に取り組むことが、標準的かつ組織運営であり成果を出すスタイルであったことから、目の前にいないメンバーとチーム活動により成果を生み出していくことができるようになりつつあることについて、複数の実践例をご紹介いただき、今後取り組もうとしている方から、参考になったという声がありました。

ワークショップやアンケートでのTW/RWに関する代表的な感想や意見は、次のようなものでした。
①対象者をどのように考えるのか(育児介護などに限定するのか、誰でも可能だとするのか)
②仕事への取り組みをどのように確認するのか(さぼり抑制、働き過ぎ規制の視点もあり)
③仕事の評価はなにを基準にすべきか(成果判断・役割分担をどう考えればよいか)
④セキュリティ対策をどのようにすすめるべきか(どこまで行っても万全では無いと思われる)

時代の流れやITの進化に伴って働き方が変わることについては実感しているし、よいモノがあるならば取り入れたいという心もちは明らかでした。ただ最適解が無いと考えると、ある程度の実験が求められるのかなと思われます。ワークショップでも事例とともに紹介を頂いた日本マイクロソフトも、TW/RWに関わる各種の取り組みを自らが実践して、活動の中で課題を見つけ、次の改善につなげているとお話しされていました。働き方についても常に実践と実験が求められることなのでしょう。

働き方シフトから考えられること・コラムのまとめとして

カナダのマギル大学経営大学院のミンツバーグ教授は、マネジャーの仕事について調査し、マネジャーの仕事は、組織を代表し、つねに関係者と対面し、口頭ベース指示命令報告を行っているという報告を行いました。この調査は1990年前後のマネジャーの仕事についての調査ですから、いまとは随分変わっているのだろうと思われます。先日、一昔前に研修で使用していたビデオを久しぶりに見る機会がありました(DVDなのが救いです)。見始めてすぐオフィス空間に違和感を感じました。机の上にディスプレーがありません。そして、やたらと紙の書類が多いのが気になります。登場人物は複数のファイルや書類を見比べながら、紙の山と格闘しています。その当時は仕事への取り組みの心意気は、紙の量で表すことができたのかもしれません。環境負荷を軽減する活動が進んだのでしょう。もう一つ気になるのは机の配置です。管理者が机の塊の頂点にいて、部下達が仕事している姿をチラチラと見ています。ときどき声を掛け指示命令をし、部下は書類の束を抱えて報告に行きます。管理監督者を経て情報が展開していく様子が見て取れ、またコミュニケーションも口頭ベースで行われていたことを思い出させます。情報のオープン化が進み、管理者を経ずともやりとりが行われます。管理監督者の役割も変わってきています。

さらに一昔前を思い返すと、情報共有するだけのために出席者が何時間も掛けて移動して会議に参加するのが当たり前で、役員に決裁印を貰うために役員室や役員の机の前に行列をつくることもありました。現在では、テレビ会議とまでいかなくても、端末のWEBカメラを利用して会議に参加することもできますし、稟議も電子決済というのも物珍しくなくなっています。机の上に置いた2面のディスプレー画面を見比べながら仕事したり、デスクトップとモバイルそしてタブレットを使い分けて、紙を全く机の上に置かずに仕事しているのも普通の風景です。会議でもその日の議題と検討した施策や役割について進行役がホワイトボードにまとめ、終了と同時に参加者に配信することも当たり前となってきています。仕事のしかたは常に変わるもののようです。目の前の人たちと仕事することから、物理的に異なる場所や時間に働く人と仕事を共に行い成果を生み出すことが普通だという時代が始まっています。

今後は、テレワーク・リモートワークの活動がどのように進んでいくかについては、調査や分析などを通して、実態把握と今後の動向を注意深く見つめて、調査報告もしたいと考えています。コラムに目を通して頂いて、ありがとうございました。読者の皆様からもご意見やご要望を頂ければ幸いです。

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