2015年5月15日:公開討論会「何が企業の社会価値創造の力を高めるのか」

■日時:2015年5月15日

■場所:イイノホール&カンファレンスROOM B1+B2+B3

■登壇者(氏名50音順):
大久保和孝氏(新日本有限責任監査法人 CSR推進部長)
近藤まり氏(同志社大学大学院 ビジネス研究科 教授)
挽野元氏(ボーズ株式会社 代表取締役社長)

■参加者:標記テーマに関心のある方142名

<開催レポート>

表彰制度「KAIKA Awards~人・組織の開花と社会価値の創造~」では、有識者、実務者からなる審査委員会によって、「持続・継続の仕組みや可能性がある」「組織らしさ、ユニーク性が備わっている」「個人の成長や社会性意識と有機的につながった価値創造であり、組織としての力強い取り組みである」という観点で議論を行っています。特に「イノベーティブで社会感度が高い、魅力的な組織」づくりや価値創出について、審査委員会では示唆に富む議論がなされています。これからの経営や組織づくりを考えるにあたり各社・各組織の方に参考になればと審査委員から3名の方をお招きして、公開討論会を開催しました。

前半では「生き生きとした組織づくりのために何ができるのか」という点についての討議、また後半では「企業の社会価値創造野力とは」という大局的な視点からの討議が行われました。大久保氏のファシリテートのもと、アカデミックかつグローバルな視点を持つ立場からの登壇である近藤氏と、企業経営者の立場ならびに自身の実務経験を踏まえた立場からの挽野氏と、それぞれの立場から三者三様の意見が出て、会場からの質問も交えながらの進行となりました。

近藤氏がCSRのキーワードとして紹介したのは、「マインドフルネス」と「コンパッション」という2つの単語です。「マインドフルネス」とは、「五感をフル稼働させて集中すること」「自分の在り方に気づくこと」とも訳せます。「マインドフルネス」な境地であれば、ビジネスに限らず常に新しいカテゴリを創造することができますし、新たな情報を積極的に受け入れて物事をさまざまな視点から捉えることができます。また、結果よりも過程を重視することができるので、すべての行動が学びや気づきにつながっていくでしょう。つまり、これからの時代に求められるリーダー像、社員のあり方の指標となるものだという紹介でした。また「コンパッション」とは「情熱をもって他人の苦悩を引き受ける」という、思いやりよりももっとアクティブな感情であり、行動を表すもの。ストレス時代の今、やはりリーダーに強く求められる姿勢といえるでしょう。

いっぽう挽野氏からは、社員の喜びを醸成するために自身がリーダーとして心がけていることを何点か紹介いただきました。たとえば、「人間として周囲に興味を持つこと」「意見をすくい上げる努力をし、聞く耳を持つこと」「大きなビジョンを掲げながら、現場レベルにも浸透させていくこと」「常に明るくあること」など。経営者として、「矛盾と戦いながら組織づくりに取り組んでいる」という率直な言葉には、共感した参加者も多かったようです。

3名の意見として共通していたのは「日本には、すでに良いものを持っているのに、自分たちの素晴らしさに気づいていない組織が多いのではないか」ということです。近藤氏や挽野氏が語ったリーダー像の根幹は「社会や組織、個人に対して心を開くこと」とも言えるでしょう。それは、日本のビジネスパーソンが古くから得意としてきたことでもあります。組織運営の参考になっただけでなく、所属する組織の長所を見出していくきっかけになった参加者も多かったのではないでしょうか。

そして、企業の社会価値創造に関して、社会にビジョンを提示していくこと、描いたビジョンを見据えた時の行動についてと、討議が重ねられました。わが社のビジョンを達成するためにどんな行動をするべきか考えてほしいというメッセージを出すとともに、実際に経営者が現場に足を運んで社員と感覚を近づけることからはじまるという挽野氏の話は、大きな絵と現場での自分事化をつないでいくステップとして示唆に富むものでした。個人の幸せが組織、社会の幸せにつながっていきます。そのための明確なビジョンを創造できたとき、企業と社会は価値を共有できます。きれいごとではありますが、そういた観点で考え、議論が重なっていくことが確実に企業の力を強くするのであり、そのプロセスこそが重要であるという点に話が及び、討論会が終了となりました。

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