「創造的業務とそのマネジメント」Lab. 進捗レポート2

創造的業務とは一体に何か??という研究はメンバーからの意見を集約しています。創造的業務については様々な先行研究も行われていますが、今回はその一部をご紹介します。

創造的労働及び創造的人材の定義は、「(1)仕事の性格が非定型的で裁量性が高く、(2)仕事のパフォーマンスの個人差が大きく、(3)仕事の結果の会社に対する影響が大きいような部門やそのような業務を行っている社員」(稲上、1998、労働大臣官房政策調査部編、1996)としています。

他にも創造性そのものの定義として「創造性とは、個人や協働する諸個人の小集団による新奇かつ有用なアイデアの産出である」(Amabile, 1988, p.126)としている研究もあります。

創造的な仕事を担当している部門や職場の特徴として、以下のような点が抽出されています。

(1)取引先や他の部署と連携を取りながら仕事を進める。
(2)部員には複数のテーマが与えられることが多い。
(3)新しい分野(商品、業態等)を開拓する仕事が多い。
(4)高い専門性が要求される仕事が多い。
(5)プロジェクトチームなど組織づくりが動態的。
(6)職制にこだわらず臨機応変に仕事を進める。
(7)時間や仕事のペース配分の自由度が高く、進捗チェックが厳しくない。

(稲上、1998、労働大臣官房政策調査部編、1996)

考えることの意味に着目した指摘もあります。人材が価値を生み出すプロセスは「考える」ことを基礎とする知的創造過程である(守島、2002、「知的創造と人材マネジメント」『組織科学』Vol.36, No.1、組織学会)。「考える」という活動に着目することによって、付加価値の創出に繋がる従業員の創造的活動とはどんな活動かを考察できるとしています。企業において人材が「考える」という活動として、創造性の程度の低い順に、「業務の処理」「変化や不確実性への対応」「知識の創造」の3つがある、としています。

一方で、「ビジネスの現場では、創造性を測定する成果物そのものをどのように定義するかは非常に困難であり、成果物による測定の妥当性が疑問視されている。」(和多田・開本「クリエイティビティ・マネジメント─創造性研究とその系譜─」2012)ともいわれており、「ビジネスパーソン対象に、用途テストを応用した創造性の測定を試みたが、その信頼性、妥当性には十分ではなかった。そこで、ビジネスフィールドを対象にした実証研究では、創造的行動によって創造性の高さを測定することが主流になっている。加えて、可能な限りバイアスを少なくし、客観性を高めるために、他者評定(多くの場合は、上司評定)による創造性評価が一般的になりつつある。(和多田・開本「クリエイティビティ・マネジメント─創造性研究とその系譜─」2012)という見解もあります。

また、成果に関しては、「業績向上に繋がるアイデア・企画が採用されたこと」、「業務効率改善に繋がるアイデア・企画が採用されたこと」、「業務を通じて特許を取得したこと」の有無を調査した結果、創造的部門や創造的社員にはこうした創造的成果を上げたとする回答が多く見られる点を明らかにしています(労働大臣官房政策調査部編、1996)。

本Lab.では上記に鑑みながら、実務家の意見を中心に、組織や職場単位にとっての創造的業務を特定していくプロセスに注目するなどしていきます。

<企画協力・Lab. Facilitator>
坂本 裕司(株式会社エイチ・ピィ・ピィ・ティ 代表取締役)
ページトップへ戻る