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開花区

KAIKAさせる経営・組織のつくり方

「KAIKAプロジェクト」における“これからの経営・組織作り”の考え方である「個の成長・組織の活性化・組織の社会性」を実現している企業のキーパーソンによる対談企画をお届けします。
第一回は「KAIKA Awards 2015」で「KAIKA大賞」を受賞した 株式会社リバネス 代表取締役社長 COO・高橋 修一郎さんと、「KAIKA賞」を受賞した 株式会社VSN 代表取締役社長・川崎 健一郎さんによる対談。異業種でありながらも組織をつくるうえで共通した想いがありました。

新しい価値を創出する組織に不可欠なもの

“熱”のない組織にイノベーションは生み出せない

高橋 KAIKAの受賞をきっかけに、こうした新たなつながりが生まれたことを大変嬉しく思います。

川崎 私も受賞企業のみなさまの取り組みを大変興味深く拝見いたしました。特にリバネスさんは“技術”をコアとした事業領域でVSNとの共通する部分がありますね。

株式会社リバネス 高橋さん

高橋 なかなか一言では説明できないのですが、「リバネスは一体何をする会社なのか?」とよく聞かれます(笑)。
我々は元々研究者集団で、私が修士学生だったときに15名の研究仲間が集まって設立しました。いわゆる「ポスドク問題」を初めとする、高度な専門性を身につけたにも関わらず、それを活かして活躍できる場が少ないという現状を変えていこう、という想いでスタートしています。会社と言っても、創業時は月曜から土曜まで毎日が研究で唯一、日曜日だけ集まってミーティングをする、といった感じで、当然、最初は具体的な案件なんて全くないんです。そのときに、自分たちが本当に成し得たいことをじっくりと考える時間を持てたことは今の事業にも活きていると思います。
最初に始めたのは学校への“出前実験教室”。教職も持っていないし、営業経験もなかったのでとても苦労しましたが、その経験があったからこそ、今のビジネスモデルを組み立てることができ、年間何百回と出前実験教室を開催しています。
創業当初から、型にはまらずに事業を進めるというスタイルは今も変わりません。その時々で姿勢や発想を柔軟に変えていかねばならない。研究者や技術者など、新しいものを生み出そうと活動している人たちにとっては心地いい働き方なのではないかとも思っています。

川崎 社員のみなさんは全員が科学技術の専門家なのですか?

高橋 当初はいわゆる理系人材の集まりでした。しかし近年では社会学や心理学などの研究者も増えて、多様な人材で構成されています。さまざまな分野のプロが集まるからこそ視野が広がり、イノベーティブな発想も生まれやすくなってきます。これは大きな強みですね。
起業した理由の一つのでもあるのですが、研究者には技術や知識はもちろん、技術や対象分野がとにかく大好きで、それらをひたすら研究し追求し続ける“熱”というものがあります。この“熱”をリバネスの理念である「科学技術の発展と地球貢献を実現する」につなげたい。今リバネスは、さまざまな分野に対する強烈な“熱”で溢れています。

川崎 “熱”が社会を変える、というところにすごく共感します。我々も、エンジニアがお客様先の事業課題を見つけ、解決策の実行まで行う独自のサービス「バリューチェーン・イノベーター(以下、「VI」)」を提供しています。このコンセプトが生まれたのも、社員の“熱”からなんです。
リーマン・ショックの際、約2,000人いるエンジニアのうち、4割が契約終了になってしまった。もし、今後も同様の世界恐慌が起こったとしても、「こんな状況だからこそ、一緒に頑張ろう」と言っていただけるような会社にならなければならない。そのためにVSNは一体“何屋”になるべきなんだ、と考えられたのがこのサービスです。大事にしていたのは“主観で考える”こと。自分たちが“熱”とともに、本当にしたいと思えるものでないと本当の成功は得られません。たとえ成功してもそこに “歓び”はありませんよね。

異業種でも今後、向き合うことで新たな気づきと価値が生まれる

高橋 そのとおりだと思います。しかし、“熱”を実現するためには新たなスキルを身につける必要がありますよね。今までの技術分野だけでなく、事業課題の解決というスキルが絶対に必要となると思います。そこはどのように育成されたんですか?

株式会社VSN 川崎さん

川崎 実は軌道に乗るまでにはかなりの時間がかかりました。2011年からこの取り組みを行っているのですが、最初の年の成果はわずかに2件。翌年は7件。2年間で9件しか進みませんでした。現場のエンジニアに聞いてみると、高橋さんがおっしゃられた通り、熱は持っているものの、具体的にどう進めていいのかわからないのです。まずはどうやって問題を見つけるのか? 最良の解決策はどのようにして策定するのか? どうしたらお客様に納得いただくような提案ができるのか?コンサルティングがどのように事業解決を行っているのかすら、私たちはわかっていなかったんです。
そこで、マッキンゼーのパートナー出身の一流コンサルタントの方に講師を依頼、エースエンジニアたちにコンサル手法をしっかりと伝授していただきました。
ただ単純にその手法を受け入れるだけではなく、派遣エンジニア集団がVIを実現するにはどうしたらいいのかをとことん考え、彼らがVSN流にカスタマイズし、教育プログラムやVI独自のフローとして社内に展開しています。
その結果、3年目に50件以上、4年目には200件を超える改善策提案へとつながりました。

高橋 事業課題の指摘や改善策を推進することで、派遣先企業の方々にも刺激となり人材育成につながるのではないでしょうか。そういった外からの風というものが、さらにイノベーションを生み出すのだと思います。
我々も、教育・研究・創業の3つの事業を中心として、企業や教育機関、研究者に橋を架ける「知識プラットフォーム」を構成していますが、一つの企業と一人の研究者をつなぐだけでなく、さまざまな組織や個人がそのプラットフォームに属することで一度につながりを生み出すことが可能です。年齢や立場は関係ありません。彼らの“熱”が、プラットフォームに参加する企業とともに新たな価値を生み出します。

>>リバネスの主要な3つのプラットフォーム(https://lne.st/service/co/)

川崎 外からの風、第三者の声というものが組織に新たな動きや気付きをもたらすことは多々ありますし、むしろそれは必要不可欠なものだと思います。社外から自社にないものを組みこむ「オープンイノベーション」はもちろん、社内に埋もれている技術や知識にスポットを当てられたりもする。
それらを積極的に取り入れられるか、柔軟な組織であるか、というのもオープンイノベーションが進むうえで、重要なポイントですね。

高橋 我々は研究者の創業応援プロジェクトのひとつとして、シードアクセラレーションプログラム「TECH PLANTER(テックプランター)」を企画・運営しています。これはものづくり、ロボティクス、バイオ、ヘルスケア、食、農などの分野で、自ら熱をもって取り組んできた研究・技術を社会に活かそうとする情熱をもった若き起業家の発掘・育成を目的としています。研究者が、その研究内容をしっかりと事業化できるようにサポートするプログラムです。
パートナーとしてさまざまな企業に参画いただいていますが、その中には自社の社員を参加させて彼らの刺激としたい、育成機会としたい、という企業さんもあります。知識プラットフォームだけでなく、育成のプラットフォームにもなっている。事業化を目指した研究者たちの熱に触れると、大手企業の社員のみなさんの目が変わっていくのがわかるんです。逆に言うと、社内だけの取り組みだけでは彼らに火をつけることができる機会が少ないということ。そういう組織にどんどん横串をさし、橋を架けるのがこのプラットフォームだと考えています。

>>TECH PLANTER(https://techplanter.com/)

川崎 そこにはVSNエンジニアも何かしらの形で参加できる機会がありそうですね!

高橋 ぜひご一緒しましょう! VSNのエンジニアは大手企業に就業されている方々が多いと思いますが、起業から携わるという経験はなかなかできないと思います。これからの未来を創る、という経験は社員のみなさんを大きく成長させると思います。これからの日本は、0から1を創り出せる組織や人をしっかりインキュベーションする力を身につけていく必要があります。

川崎 リバネスさんが形成するプラットフォームで新たなスモールチームが生まれ、互いに火を灯し合いながらイノベーションの種を次々に生み出す。私たちはTeam VSNというスモールチームを各企業さまに送り出し、新たな風を送り込んで新しい価値を創造する。
アプローチは違えど、私たちが歩むのはこれからの強い日本を創っていく上で非常に重要な道だと信じています。
「KAIKA」さんはこうした企業と企業をつなぐハブとして、異業種同士が向き合える機会を作っていただき、感謝します。

一同 これからも、ともによりよい未来創造に向けて、「KAIKAプロジェクト」のコンセプトのとおり、個や組織の発展だけでなく社会をも変えていくような取り組みを今後も進めてまいりましょう!


takahashi
株式会社リバネス 代表取締役社長 COO 高橋 修一郎さん

東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了。博士(生命科学) 設立時からリバネスに参画し、教材開発事業やアグリ事業の立ち上げを行う。大学院修了後は東京大学教員として研究活動を続ける一方でリバネスの研究所を立ち上げ、研究開発事業の基盤を構築した。さらに独自の研究助成「リバネス研究費」のビジネスモデルを考案し、産業界・アカデミア・教育界を巻き込んだオープンイノベーション・プロジェクトを数多く仕掛ける。2010年より代表取締役に就任。
https://lne.st/

kawasaki
株式会社VSN 代表取締役社長 川崎 健一郎さん

1976年、東京都生まれ。1999年、青山学院大学理工学部を卒業後、(株)VSN(旧・ベンチャーセーフネット)に入社。2003年、事業部長としてIT事業部を立ち上げる。常務取締役、専務取締役を経て、2010年3月に現職。2012年、同社がスイスに本社を置く人材サービス大手のアデコグループに入り、日本法人の取締役に就任。2014年からは2社の社長を兼務し、国内事業を統括している。
http://www.vsn.co.jp/

(写真:上飯坂 真)

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