保育・介護業界の人材不足、業界の地位向上など業界課題に真っ向から取り組んでいる。独自のライセンス制度を構築し、さらに教育制度へ展開し、2年更新といった進化もみられる。業界に携わっているからこその課題を、民間企業が自ら打破すべく活動しているのはすばらしい。福祉関連の事業に携わる職員の専門家としての地位向上とサービス質向上を行う強い意志がうかがえる。
業界団体や外部研究者を巻き込んで展開している点についても、業界全体へ影響を与えるものとなるだろう。エビデンスに基づく保育の考え方は、職員の課題解決や質の向上に有効な施策だと思われる。また、本制度により産官学の連携が得られており、現場職員自身が参画することで、社内外の実践者と研究者の直接的交流が創出され、社内外とのネットワーク・交流が構築されつつある。一部の施設では保護者に積極的な協力を求め、保護者と共に活動している感覚も芽生えている。このような事例も含め保護者に、保育機関が専門家集団であるという認識が広がりつつある。
現時点では、施設長が全員ライセンスを得ている段階までにはいたっていない。そのこと自体が保育士や介護士は日常の業務に追われていて、学習という将来投資よりも目前の課題を優先するということだろう。だからこそそのような職場で、自己啓発活動を働きかけることには意義があり、多大なそして継続的な努力が必要となる。制度利用者からは専門性やスキル開発にとって有意義なプログラムであるという評価もあり、時間は掛かるが粘り強く推進していけば、社会的にも意義のある大きな成果へと繋がるものと期待する。
会社概要(2018年受賞時)