バウム カウンセリングルームでは、6年ほど前から新卒採用と人材定着に力を入れ始め、その結果人材定着率9割を達成するとともに、定着した人材をもとに支援の輪を広げる活動に取り組んできた。一方、法人規模が大きくなったことや、昨今の新型コロナウイルスへの対応において、従来の理事長を主体としたトップダウン型の教育だけでは人財を育成することが難しくなってきた。そこで、コミュニケーションの一部をボトムアップ化することで、今までと違ったコミュニケーションの創出を図った。その結果、理事長主体のトップダウンだった頃よりも、事業所単位での交流やまとまりが強くなり、地域の方やその施設で過ごされるご利用者様に、より根ざしたサービスの提供が促進されるようになったほか、職員の思わぬ才能の開花と職員が新しいビジョンを見ることができるようになった結果、お客様へのサービス提供の部署の創設等のプロジェクトが職員の意見から発足、新たな活躍の場が生まれている。
福祉業界の過酷なイメージに反して、職員がいきいきと働ける環境をつくり、各種の施策を通じて職員の意欲を高めている事例である。ICTツールをうまく活用することで、事業所の壁を越えた職員間のコミュニケーションも自然発生的に生まれている。失敗を恐れず、新しいことに挑戦していくことを奨励する組織風土と、脈々と培ってきた共通の価値観が、こうした組織づくりを支えてきたと言える。
また、職員に対して経営数字をオープンにして、各職場で組織運営を考える仕組みは、健全な経営体質づくりにおいても、職員の主体性向上においても、有効に働いている。目標達成に応じて処遇もよくなるという仕組みも、様々な施策に一貫性をもたらしている。
さらに、これまで培ってきたノウハウを、他社へのコンサルティング事業へと展開している。多くの人が働きたい業界づくりに向けて、今後の同法人の活動の広がりが、おおいに期待される。
会社概要(2020年受賞時)