インターナル・コンサルタント養成のススメ~
第1回:インターナル・コンサルタントとは?

第1回:インターナル・コンサルタントとは?

2020年8月6日

こんにちは。チームスキル研究所の田中信です。

前月までは、「チームでパフォーマンスを上げる職場づくり」というテーマで、職場マネジメントに必要となるチームスキルについて共有しました。
今月からは新たに「インターナル・コンサルタント養成のススメ」について考えていきたいと思います。

あなたの会社にインターナル・コンサルタントという職種はありますか?

私はこれまで15年以上にわたり、この分野に関連するコンサルティングやトレーニング、コーチングのご支援をしてきました。
その経験からは「インターナル・コンサルタント」という職種が存在する会社はまだ少ない状況であると言えます。さらに多くの企業では「改革の企画・推進」という特別な知識とスキルを必要とする役割に対し、明確な呼称はなく、普通の社員と同様に扱われている状況です。
一方で企業内の活動に目を向けると、日々の改革推進活動を通じて、改革に必要となる知識やスキルを独学でかつ試行錯誤しながら学ばれている方々がいます。

つまり現時点では、企業内において改革の推進に関する専門性が組織内で明確になっておらず、かつそこに必要な知識・スキルも明らかにできていない状況と言えます。
しかし、現在の企業が置かれている状況は変革の推進なくして存続は考えられません。その観点に立てば変革を推進するコンサルタントのようなスキルが現代の企業経営にとって必須のスキルではないでしょうか。

このシリーズでは、企業内で改革を推進する方々を「インターナル・コンサルタント」と捉え、その役割や役割を果たすために必要となる知識とスキルについてご紹介することで、改革を必要とする企業及び社内で改革を推進する方々を応援したいと思っています。

インターナル・コンサルタントとは「第2者」の立場の人

このコラムを企画している一般社団法人日本能率協会(略称:JMA)では2014年より「インターナル・コンサルタント養成(後に社内改革推進者養成)公開コース」を実施しています。
その際にインターナル・コンサルタントの役割を「第2者的な立場から会社をよくするための働きかけをすること」と定義しました。
ここでいう「第2者」とは、どのような立場なのでしょうか。
「当事者」、「第3者」との比較で考えてみようと思います。
「当事者」とは、対象となる事柄に直接関わる立場となります。
「第3者」とは、対象となる事柄に対し、直接関わることは無く、間接的に関わる立場です。
例えば職場を対象にしたエンゲージメント向上という組織改革テーマがあるとします。このテーマの場合、エンゲージメントの向上が求められる職場メンバーや管理職が「当事者」となります。そして、エンゲージメント向上の為に組織的な打ち手を企画・推進する役割をもつ経営企画や人事を担当する部門が間接的に職場に関わるので「第3者」となります。
改革の推進する場合、上記の体制をする事が一般的だと思います。
しかしこの体制だと活動が思うように進まないという経験をされている方が多いのではないでしょうか。
このような「うまくいかない」状況下で重要な役割を果たすのが「第2者」という新しい立場です。

「第2者」とは「当事者」ではないが、当事者と共に対象事項に関わる役割です。

組織診断の分析や制度設計などの改革プランや施策づくりだけではなく、実際に改革の対象となる職場やプロジェクト等に「第2者」として直接的に関わる役割をも担う役割をインターナル・コンサルタントと定義しています。

なぜインターナル・コンサルタントは必要なのか?

経営環境が激変する中で、第一線の管理職には外部環境への対応だけでなく、従来のような新人事制度対応やIT改革だけでなく多種多様な内部要因の環境変化への対応が求められています。ではどのような環境変化に晒されているのでしょう。

事業計画から展開された部門目標の達成は当然として、働き方改革に伴う仕事のやり方見直し・RPA活用による業務効率化の推進、労務管理の徹底、テレワーク推進、コンプライアンスの遵守、タレントマネジメントのための部下指導・育成、部下の将来キヤリアの開発支援、ダイバーシティ&インクルージョンを考慮した職場マネジメントの推進、エンゲージメントの向上、新人事制度に伴う評価システム変更への対応、1on1ミーティングの実施etc…というように過去の管理職とは比較にならない程の多種多様な組織施策へ対応しなくてはいけません。
このような状況下において、第一線の管理職のみにその推進を押しつける事には限界があります。

そこで、インターナル・コンサルタントのような役割の人が、職場に直接関わり、必要な知識やスキルを管理職と職場メンバーが体得できるようにサポートすることが重要なソリューションの時代になっています。
鍵となるのは管理職だけに教育するのではなく、管理職を含む職場メンバー全員を育成する機会をつくることです。

また、現在の管理職の中には業績面での成果を出すことには長けているが、組織運営は不得意な人もたくさん居ます。
このような組織運営を得意としない管理職にとって、インターナル・コンサルタントに職場へ直接関わってもらうことで、人と組織の力を引き出す職場マネジメントのやり方や組織改革の進め方について、実際に自分が運営している組織を通じて成長を体験できることは、組織成果を出す上で大きな価値となります。
何故なら、これまで自分ではやりたくても成し得なかった切り口で自組織を変えることができるからです。

そして究極の必要性は、これからの企業は「変化し続けること」が成長のKFS(成功のための鍵となる因子)であるためです。
うまく行ったことを繰り返すのではなく、うまくいったら「もっとうまく出来るはずだ」と新たなやり方を積極的に試しながら変化し続けることが求められています。
インターナル・コンサルタントの支援を得ながら新しいことにチャレンジし続けられる組織状態づくりが重要になっているのです。

インターナル・コンサルタントとしての活躍が期待できる立場とは?

人事部に籍を置きながら事業部門で活躍するHRBP(HRビジネスパートナーの略)のほか、「理念浸透やインナーブランディング」、「ダイバーシティ&インクルージョン」、「働き方改革」、「エンゲージメント向上」、「組織開発」、「組織活性化」「PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)」などの改革テーマで組織に位置づけられた推進室・プロジェクトのメンバーです。
その他に「会社を変えていきたい」という思いをもつ方々も含まれます。

ここまで「インターナル・コンサルタントとは?」について定義や役割、必要性についてみてきました。
次回は引き続き、「社外コンサルタントとの違い」「インターナル・コンサルタントの機能」などについてみていきたいと思います。

一般社団法人チームスキル研究所 代表理事 コ・ファウンダー
田中 信(KAIKA Award検討委員)


大学卒業後、芝浦工業大学大学院 工学修士課程修了。日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて20年以上にわたりコンサルタントとして企業・組織の改革・改善活動の支援に関わる。対象は、研究開発、商品開発、新規事業開発など企業・組織内での「新しい動き」をつくる活動を中心とする。  人と組織の力を最大限に引き出す支援として、キヤリアビジョン開発、コーチング、ファシリテーション、リーダーシップ、社内コンサルタント育成などのヒト系ソリューション事業を開発してきた。  2009年独立。現在までエグゼクティブ・コーチング、職場開発(チームスキル)、社内改革推進者養成や内製化など改革支援を推進。2012年一般社団法人チームスキル研究所を設立。その後、日本経営支援センター執行役、wevox組織・人財アドバイザーを兼務、現在に至る。


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