インターナル・コンサルタント養成のススメ~
第3回:インターナル・コンサルタントの機能とは?

第3回:インターナル・コンサルタントの機能とは

2020年10月7日

こんにちは。チームスキル研究所の田中信です。

前回は、「社外コンサルタントと社内コンサルタントの違い」についてみてきました。

社内人材のみで改革活動:活躍が期待されるインターナル・コンサルタント

従来の改革活動では、社外コンサルタントと契約し、フィージビリティスタディやマスタープラン構築、他社事例の共有、実際の職場や業務を対象にした改革のモデル活動(パイロット)の実施など、改革推進に必要となるアクションへ支援を求めることが多かったと思います。

近年の改革はコモディティ化し、社内人材のみで改革を推進するケースが増えてきました。その推進役としてインターナル・コンサルタントの活躍が期待されています。

改革活動で扱われるテーマは、いずれもその時々の経営課題と関わるものです。古くからある「構造改革」「生産性向上」「業務改革・効率化」「組織活性化」「知的生産性向上」「顧客満足」「IT改革」などに加え「バリュー浸透」「女性活躍推進」「D&I推進」「働き方改革」「組織開発」「エンゲージメント向上」「CX推進」「DX推進」などがあります。今後も様々な改革テーマで活躍するインターナル・コンサルタントが現れるでしょう。

インターナル・コンサルタントが活躍できる領域は、上述の改革テーマ推進だけではありません。「事業推進」や「ビジネスパートナー」といった役割を設置している会社があります。そのような役割の効果性を高めるためにもインターナル・コンサルタント機能は欠かせません。

このように活躍が期待されるインターナル・コンサルタントですが、どのような機能が求められるのでしょう。

1.インターナル・コンサルタントの機能

インターナル・コンサルタントの機能は、担当する改革の段階(フェーズ)でみるとわかりやすいと思います。改革段階は大きく2つに分けることができます。

1) 企画機能
2) 実行機能

1)企画機能

企画機能では、改革活動を企画するための調査や改革シナリオなどの構想を立案します。改革実施の意志決定が行われる前を扱う「プレ(事前)段階」と意志決定後に企画の具体化を図る「ポスト(事後)段階」に分けられます。

「プレ(事前)段階」では、意志決定に必要となる事前調査(FS:フィージビリティ・スタディ)や改革の構想立案、改革を推進するためのマスタープラン構築、予算化などを行います。
改革活動のマスタープランで扱われる活動期間は、一般には短いもので1年、長いものは3-5年間程度となります。

「ポスト(事後)段階」では、「プレ(事前)段階」で設定した改革構想を実現するための体制や初年度に実施する活動計画の具体化、活動開始に向けて必要となる各種準備(活動について説明する資料の作成、組織内外のキーパーソンへの協力要請、改革に参画する組織・部門を対象とした活動準備のためのガイダンスやトレーニング等)を行います。

2) 実行機能

実行機能では、改革のマスタープランや単年度プランに沿って、実際に改革活動を実行していきます。例として、社外から改革テーマに関する有識者を招いた講演会の実施、社内関係者を対象にした改革テーマに関する課題認識や改革活動の必要性への認識を高めるためのワークショップ推進、改革テーマの実行に必要なスキル・トレーニング提供、社内に改革の成功事例をつくり、他部門への展開を容易にするためのモデル職場でのパイロット実施、パイロット実施を通じて得た知見を用いての社内展開(ロールアウト)、経営層への活動経過及び成果の報告などが対象となります。

2.本社・スタッフ部門の補完機能としてのインターナル・コンサルタント

会社の中には様々なスタッフ部門が存在します。本来はスタッフ部門とライン部門は緊密に連携して組織的成果を出す役割を担うはずです。しかし実際には連携の曖昧さ・不十分さ・部門間の利害関係等により、期待される成果が十分に出せていないことがあります。インターナル・コンサルタントはこのような本社・スタッフ機能とラインとの間に起こるグレーゾーンをつなぐ補完機能を担うことがあります。

インターナル・コンサルタントが補完する機能(例)を以下に示します。

■人事機能

新人事制度の浸透や制度の運用・実行を促す。人事上の本部ニーズに対応する(例:採用、研修、労務管理 etc..)など

上述の機能を補完する目的も含めHRBP(HRビジネスパートナー)制度を導入する会社があります。
HRBPの機能を強化する目的で、インターナル・コンルタントとしてのスキル・アップを図る例が増えています。

■経営企画機能

策定した全社方針・中計の実行支援や全社施策の運用・実行の促進(例:全社●●診断、各種全社イベント、ミッション・ビジョン・バリューの浸透etc..)など

経営企画の機能を補完するインターナル・コンサルタントの役割には、「中計達成のための組織開発支援」、「全社●●診断(パルスサーベイなど)の組織活用支援」、「バリュー浸透を目的とした施策の実行支援」、「全社員を対象にした対話会の企画運営」などがあります。

■事業推進機能

事業推進の機能には、担当する部門課題を抽出・提起する、部門課題の解決策を提案する、施策の実行を支援する等が含まれます。

インターナル・コンサルタントが事業推進の機能を補完する例に、「部門課題解決策を各職場へ展開するための職場への介入・実行支援」などがあります。

インターナル・コンサルタントが補完する機能は、各社の組織が担う役割によって異なります。そのためインターナル・コンサルタントの役割・機能は、各社毎の事情を考慮して設定する必要があります。

3.改革テーマの生い立ちでインターナル・コンサルタントの機能が変わる

社内において、改革テーマがどのような経緯で設定されたのか?
その生い立ちによりインターナル・コンサルタントに求められる機能が変わってきます。
改革テーマの生い立ちを4タイプに分けて考えてみます。

1)ビジョンや中期経営計画の策定などを通じて、改革テーマが設定される場合
2)トップの号令一下で改革テーマが掲げられる場合
3) 担当者自らが経営層へ提案し、改革テーマとして承認される場合
4) 外部コンサルタント支援を受け推進していた改革活動を内製化する場合

を挙げたいと思います。

1)の中期経営計画の策定を通じて改革テーマが設定される場合、中期経営計画の検討メンバーの中で改革テーマが必要となる背景や重要性などが議論され共有されます。つまり改革の推進段階において組織内に改革テーマについて認識をもつ人が複数存在している状態です。そのためインターナル・コンサルタントは主に「改革テーマをどのように推進するか」という実行プランづくりから関与します。

2)のトップの号令から始まるケースでは、トップからの「この改革テーマがなぜ必要なのか?」といった“そもそも論”の説明が不足するケースがみられます。その結果、組織メンバーの中に「なぜこの改革が必要なのか?」という疑問が立ちやすくなります。インターナル・コンサルタントにはこの「なぜ?」への対応、つまり改革のWhyを明確化することが重要になります。

3)に示す「担当者から提案された改革テーマ」が採用される場合、2)のトップ号令と同様に、組織メンバーから改革テーマの必要性に関して疑問視する声、つまり改革の「疑問の壁」が発生しがちです。
インターナル・コンサルタントには関係者の疑問の声に対応することが求められます。
参考までに代表的な「疑問の壁」を以下に挙げておきます。

□「改革テーマの定義やその意味することは何なのか?」(概念)
□「なぜ必要なのか?」(改革が必要となる背景)
□「なぜ今、この改革が必要なのか?」(タイミング)
□「なぜこの改革をやるのが我々なのか?他でもよいのではないか?」(対象)
□「具体的に何をやるのか?」(行動やかかる工数・時間)
□「成果として何を目指すのか?」(ゴール/アウトプット/状態/指標)
□「成果は出るのか?」(アプローチの有効性)
□「この改革に時間をかける価値はあるのか?」(価値)
□「この改革テーマより別の●●の方が重要ではないか?」(優先順位)
□「うまく行かない場合の責任は誰が取るのか?」(リスクへの対応)
 etc…

最後に4)の改革活動の内製化です。このケースでは改革プログラム推進に関する知見が既に社内に存在します。そのためインターナル・コンサルタントは改革プログラムの内容を学び、遂行力を身につけるところから関与します。

ここまで「インターナル・コンサルタントの機能」についてみてきました。次回は「改革の企画段階(フェーズ)で大切なこと」について詳しくみていきたいと思います。

【バックナンバー】

★第1回:インターナル・コンサルタント(IC)とは?
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting01/

★第2回:社外コンサルタントと社内コンサルタントの違いとは?
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting02/

★第3回:インターナル・コンサルタント(IC)の機能とは?
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting03/

★第4回:改革の企画段階(フェーズ)で大切なこと
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting04/

★第5回:企画段階でインターナル・コンサルタントに求められるスキル(1)
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting05/

★第6回企画段階でインターナル・コンサルタントに求められるスキル(2)
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting06/

★第7回: ICに求められるインタビュー・スキル(1)
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting07/

★第8回:ICに求められるインタビュー・スキル(2)
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting08/

★第9回:ICに求められるインタビュー・スキル(3)
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting09/

★第10回:改革活動における企画段階の全体像を俯瞰する(1)
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting10/

★第11回:改革活動における企画段階の全体像を俯瞰する(2)
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting11/

★第12回:改革活動における企画段階の全体像を俯瞰する(3)
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting12/

★第13回:ICに求められる5大スキル領域とは
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting13/

★第14回:インターナル・コンサルタント(IC)に必要なマインドセット
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting14/

一般社団法人チームスキル研究所 代表理事 コ・ファウンダー
田中 信(KAIKA Award検討委員)


大学卒業後、芝浦工業大学大学院 工学修士課程修了。日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて20年以上にわたりコンサルタントとして企業・組織の改革・改善活動の支援に関わる。対象は、研究開発、商品開発、新規事業開発など企業・組織内での「新しい動き」をつくる活動を中心とする。  人と組織の力を最大限に引き出す支援として、キヤリアビジョン開発、コーチング、ファシリテーション、リーダーシップ、社内コンサルタント育成などのヒト系ソリューション事業を開発してきた。  2009年独立。現在までエグゼクティブ・コーチング、職場開発(チームスキル)、社内改革推進者養成や内製化など改革支援を推進。2012年一般社団法人チームスキル研究所を設立。その後、日本経営支援センター執行役、wevox組織・人財アドバイザーを兼務、現在に至る。


★この執筆者へのお問い合わせは以下問い合わせフォームよりご連絡ください。
https://kaikaproject.net/contact/

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