インターナル・コンサルタント養成のススメ~
第10回: 改革活動における企画段階の全体像を俯瞰する(1)

改革活動における企画段階の全体像を俯瞰する

2021年5月12日

こんにちは、チームスキル研究所の田中信です。

前回は改革※1の企画及び実行の両段階で鍵となる「インタビュー・スキル」についてみてきました。
我々がご支援している組織改革活動の多くは、ICの役割を担う方々がこのインタビュースキルを駆使して改革を推進されています。ぜひスキルを磨いて改革企画・推進力を高めてください。

これまで数回にわたり改革構想づくりについてみてきました。今回は改革の企画段階で必要な事柄について全体像を振り返っておきたいと思います。

改革デザイン・マトリクスを用いて改革企画の全体像を俯瞰する

改革活動における企画段階の全体像を俯瞰するためのツールとして、本コラムの第6回※2でご紹介した「改革デザイン・マトリクス」を使用します。

また読者の方から、『「改革デザイン・マトリクス」の項目例についての解説がほしい』とのコメントをいただきましたので、以下に概要を再掲し、あわせて各項目について説明していきます。

改革デザイン・マトリクスでは縦軸に「改革活動の実施項目」を展開します。
横軸には「改革の手段」を展開します。ここで重要なのは、改革マトリクスの縦軸・横軸のそれぞれにどのような項目を設定するかです。企画の発想範囲に少なからず影響を与えるため、できるだけ多面的に設定することをお勧めします。

今回は縦軸に設定する項目例を以下に示し、各項目の概要についてご説明します。

1)縦軸の項目例 :「改革活動の実施項目」

a : 改革活動の必要性顕在化
・改革活動の必要性について明確化する行動。経営陣の号令一下で始まる改革活動もあれば、ボトムアップ提案を源とするもの、戦略スタッフやIC的な立場からの課題認識から設定されるもの、などいろいろな改革企画の経緯があります。この企画経緯も含めて、「なぜ改革を企画するのか?」について、問いを立てる必要があります。
「改革の必要性」は企画の初期段階で明確にされるものから、改革を推進する中で明らかになる事柄もあります。そのため「なぜこの改革が必要なのか?」を問い続けることが重要です。

b : 現状把握(定量・定性)
・改革の必要性、ありたい姿、目標、対象、目標値、期間、コストなど改革の企画に必要な情報を把握する行動です。インタビュー調査、アンケート調査などがあります。改革テーマの関連する団体や学術会議資料、他社事例の情報資料調査やインタビューなども含まれます。

c : 改革の可能性検討
・現状把握を通じて得た情報を元に、改革の実現可能性について検討します。

d :仮説立案と検証
・改革の実現可能性の検討と並行して、改革の方向性や施策アイデアなどを挙げていきます。またインタビュー・コメントやデータを用いたシミュレーションによる検証を行います。

e :改革構想(ビジョン、目標)立案
・上述のa〜dを通じて、改革構想(ビジョン、目標)を策定していきます。本コラムの第6回※2でご紹介していますので、そちらも参考にしてください。

f : キーパーソンとの関係づくり
・キーパーソンには改革起案時の決裁関係者及び、改革の推進に関わる事務局スタッフのほか、改革活動に参画するメンバーや、社外の有識者、他社で同類の改革活動を推進するIC的な役割を持つ人などが含まれます。

g : 改革マスタープランづくり
・「e :改革構想」をタイムスケジュールに展開します※3。10年・5年・3年といった中長期的な計画となります。この他に直近の単年度計画も作成します。

h : 推進体制づくり
・改革活動を推進するための組織体制を設定します。

i : 改革意識づくり
・改革を推進する際、実際に改革活動に関わる人々に対して、外部有識者による講演会や改革テーマのフォーラムや勉強会の実施、改革テーマに関心のある人を集めたコミュニティづくりや研修会などによる情報提供や対話の機会づくり、社内の広報機能を用いたプロモーション活動等のコミュニケーションを通じて「改革意識」の醸成を図ります。

j : モデル展開による好事例づくりとその展開
・ここからは、改革施策の設計例です。
・モデル職場を設定し、全社展開に先行して実験的に改革活動をトライアルするアプローチ法です。

k : 職制展開の活動推進
・ヒエラルキー構造をもつ組織において、社長−事業部長−部長−課長といった職制を通じて方針展開的に改革活動を推進するアプローチ法です。

l : 職場対象の活動推進
・「職場」を活動単位として改革を推進するアプローチ法です。管理職と職場のメンバーが一緒に活動できる点が特徴です。

m : 管理職対象の活動推進
・職場の第一線管理者を対象にした改革の推進アプローチ法です。管理職の意識・意欲・スキルにより改革の遂行度合いに大きな差が出る可能性があります。また他の業務との兼ね合いから改革活動の優先度が高まらない可能性が高いため、kやiとは別で項目を立てることがよくあります。

n : しくみ、制度づくり・改革を対象とした活動推進
・しくみ、制度の設計・導入により改革を推進するアプローチ法です。
・しくみ・制度づくりは改革推進の中間過程において、改革の定着化を図るためにおこなうことが多いです。新たな評価項目の設定やルールづくり、手続きの簡略化などの変更を行うケースも見られます。

o : 変革スキル養成  etc..
・ICを通じて推進される改革活動では、経営幹部から「ICが発揮する「変革スキル」をより多くの管理職やリーダーに身につけてほしい」というリクエストを受け、ICを講師とした変革スキルトレーニング・プログラムの構築・展開をしているケースもあります。

今回は「改革活動における企画段階の全体像を俯瞰する」と題して、改革デザイン・マトリクスにおける縦軸の「改革活動の実施項目」の各内容について概要をみてきました。 次回は横軸に設定される「改革の手段」について項目サンプル及び各項目の概要についてご説明します。

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※1:  このコラムでは、インターナル・コンサルタント(本コラムではICと呼ぶ)が扱う「変える」ことの表現として主に「改革」という表現を用いて説明します。実際には「改革」のほか「改善」、「変革」、「革新」、「革命」などが変える対象に含まれます。

※2:  本コラム「インターナル・コンサルタント養成のススメ」、第6回: 企画段階でインターナル・コンサルタントに求められるスキル(2)を参照
URL: https://kaikaproject.net/column/internalconsulting06/

※3: 広義の意味では縦軸(改革活動の実施内容)の項目例 「h :推進体制」のほか活動予算、各施策の実行計画等を含んだものを「マスタープラン」と呼ぶ場合があります。

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★第1回:インターナル・コンサルタント(IC)とは?
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting01/

★第2回:社外コンサルタントと社内コンサルタントの違いとは?
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting02/

★第3回:インターナル・コンサルタント(IC)の機能とは?
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting03/

★第4回:改革の企画段階(フェーズ)で大切なこと
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting04/

★第5回:企画段階でインターナル・コンサルタントに求められるスキル(1)
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting05/

★第6回企画段階でインターナル・コンサルタントに求められるスキル(2)
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting06/

★第7回: ICに求められるインタビュー・スキル(1)
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting07/

★第8回:ICに求められるインタビュー・スキル(2)
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting08/

★第9回:ICに求められるインタビュー・スキル(3)
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting09/

★第10回:改革活動における企画段階の全体像を俯瞰する(1)
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting10/

★第11回:改革活動における企画段階の全体像を俯瞰する(2)
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting11/

★第12回:改革活動における企画段階の全体像を俯瞰する(3)
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting12/

★第13回:ICに求められる5大スキル領域とは
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting13/

★第14回:インターナル・コンサルタント(IC)に必要なマインドセット
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting14/

一般社団法人チームスキル研究所 代表理事 コ・ファウンダー
田中 信(KAIKA Award検討委員)


大学卒業後、芝浦工業大学大学院 工学修士課程修了。日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて20年以上にわたりコンサルタントとして企業・組織の改革・改善活動の支援に関わる。対象は、研究開発、商品開発、新規事業開発など企業・組織内での「新しい動き」をつくる活動を中心とする。  人と組織の力を最大限に引き出す支援として、キヤリアビジョン開発、コーチング、ファシリテーション、リーダーシップ、社内コンサルタント育成などのヒト系ソリューション事業を開発してきた。  2009年独立。現在までエグゼクティブ・コーチング、職場開発(チームスキル)、社内改革推進者養成や内製化など改革支援を推進。2012年一般社団法人チームスキル研究所を設立。その後、日本経営支援センター執行役、wevox組織・人財アドバイザーを兼務、現在に至る。


★この執筆者へのお問い合わせは以下問い合わせフォームよりご連絡ください。
https://kaikaproject.net/contact/

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