インターナル・コンサルタント養成のススメ~
第12回: 改革活動における企画段階の全体像を俯瞰する(3)

2021年7月8日

こんにちは、チームスキル研究所の田中信です。

前回は「改革※1活動における企画段階の全体像を俯瞰する②」と題して、本コラムの第6回※2 でご紹介した「改革デザイン・マトリクス」の横軸「改革の手段」について「A : インタビュー」から「F : 講演会、シンポジウム、フォーラム」について概要をみてきました。今回は「G : 説明会」以降についてみていきたいと思います。

G : 説明会(キックオフ会、意見交換会など)

・改革の企画・計画段階から、推進段階に移行する際の節目となる活動です。
改革のキックオフ会や説明会の場面で、初めて改革の詳細について知る人が多く出てきます。そのため改革推進に対して、「疑問や反対意見」をもつ人が出てきます。改革を推進する際には、各段階で関係者からの「疑問や反対意見」が発生することを予め想定しておくことが重要です。このような「疑問や反対意見」の多くは人が新しい事に接した際に心理的に発生する「変化への抵抗反応」が影響しているケースが多く見受けられます。「変化への抵抗反応と対処法」については別の機会に詳しくご紹介したいと思います。
説明会のネーミングについても考慮が必要です。「説明会」としているのはあくまでプロセス上の名目です。実際には、できる限り改革内容や聴き手が関心を持ちやすいネーミングとして実施することが望ましいでしょう(ex:意見交換会、キックオフ会など)。

H : ワークショップ

改革を社内全体に浸透させるためには、キーパーソンの熱量や労力だけに頼るのでは限界があります。社内の一人一人に、いかに当事者意識を持ってもらえるかという点が重要になってきます。それを実現させるためにも、ワークショップという形式を用いて、発言や行動の機会を増やすことは大変有意義なアクションとなります。
また、ワークショップを通して、それまでにIC側が検討を重ねてきた様々な計画を試験的に遂行することができます。この試行結果を用いて今後進めていく改革に向けての多くの検証材料を得られる機会にもなります。

I  : コーチング

現場を束ねるリーダーから、具体的な改革推進が始まった状況で抱えがちな問題、課題を共有してもらい、解決に向けての問題の解釈や課題への取り組み方を一緒に考えていくための機会になります。ここでICに必要になってくるのは、当事者の能動的な思考、行動をサポートする役割です。単に「お悩み相談室」にならないように留意しながら、現場の現状に寄り添った視点を持つことが重要になります。

J  : 研修、トレーニング

・研修、トレーニング改革の具体策をマニュアル化したものを実践していく段階になります。「G:説明会」と同様、ここで初めて、これまで知らなかったことを実践するということに反対意見や拒否反応が生じる場合もありますが、その場で上から威圧的に強制することなく、その都度の状況に見合った対応が求められます。

K : 実践支援

ICが直接的に改革活動の職場実践に関わる手段です。
改革テーマを前提とした、個々の職場が抱える課題や問題を解決するために、職場の成熟度に合わせて伴走役を務めることが期待されます。
多くの職場では上司と部下の関係性が固定化してしまい、改革を推進するための柔軟性を失っているケースを多く見かけます。ICはこのような固定的な状態になっている職場に 第二者※3として介入し、職場状態に「ゆらぎ」を起こしつつ、改革に対する職場の効力感を実感できるための支援を行ないます。

L : 社内コミュニケーション(トップ対話会、社内ラジオ、社内報等)

・改革活動を継続していく中で、どのように改革意識・意欲を維持または高めていくか、は改革推進者が必ず持つ悩みのひとつです。
改革意識・意欲の維持や醸成の鍵となるのが社内コミュニケーション です。
重要なのは、トップの改革に対する思いの発信、ならびに社内の改革実践者の生の声や進捗共有が積極的になされていくことです。具体的には、「対話会」「社内ラジオ」「社内報」「社内SNS」などを活用していきます。特に、経営トップとの対話会を行えると、改革意識の醸成に大きく役立ちます。
改革実践者の取り組みは、具体的成果で示したり、苦労話を事紹介したりと、実感値が伝わるような工夫が有効です。
・トップから発信されるメッセージ(年度方針や幹部会などの定例的なメッセージを発信する機会)の発言の中にできるだけ改革に関する内容を盛り込んでもらうようにすることで、経営幹部層、管理職層に対する課題認識を高め、維持することに役立ちます。そのためには改革推進者がトップと直接コミュニケーションとして改革状況をインプットできる関係づくりが大切になります。

M: コンテスト、表彰 etc..

・「改革の推進」を通じて行ってきた社内の改革活動の中で、社内に紹介したい実践事例を対象に表彰制度などを用いて、広く社内に紹介をしていきます。
表彰制度などを通じて、会社として「改革の推進」が真に求められていること、どのような「改革内容」が期待されているのか、について全社に普及啓蒙することが期待できます。改革意識の醸成と定着には時間がかかります。長期的な視点で企画・推進することが大切となります。
・社内表彰だけでなく、社外の表彰制度、認定制度、事例発表などへの参加も社内への改革に対する関心を高める上で効果的です。改革活動が社外で評価されていることを知ることで、「自分が思っていた以上に大事なことなのかもしれない」「実はこの改革活動は価値のあるものかもしれない」というように改革について再認識する機会となります。
社外の表彰制度の例として 、日本能率協会が推進しているKAIKA Award※4などがあります。

今回は「改革デザイン・マトリクス」の横軸「改革の手段」のうち「G : 説明会」から「M: コンテスト、表彰 etc..」についてみてきました。 次回からは改革の推進段階で求められるICのスキルについてみていきたいと思います。

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※1:  このコラムでは、インターナル・コンサルタントが扱う「変える」ことの表現として主に「改革」という表現を用いて説明します。実際には「改革」のほか「改善」、「変革」、「革新」、「革命」などが変える対象に含まれます。

※2:  改革マトリクスについては、本コラム「インターナル・コンサルタント養成のススメ」第6回(以下URL)を参照ください。
URL: https://kaikaproject.net/column/internalconsulting06/

※3: 「第二者」については、本コラム「インターナル・コンサルタント養成のススメ」第1回(以下URL)を参照ください。
URL: https://kaikaproject.net/column/internalconsulting01/

※4: KAIKA Awardは一般社団法人日本能率協会が2014年から推進している『「個人の成長」「組織の活性化」「組織の社会性」を同時実現し新しい価値を創出する組織・取り組みを表彰する制度』です。
URL: https://kaikaproject.net/awards/

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★第1回:インターナル・コンサルタント(IC)とは?
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting01/

★第2回:社外コンサルタントと社内コンサルタントの違いとは?
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting02/

★第3回:インターナル・コンサルタント(IC)の機能とは?
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting03/

★第4回:改革の企画段階(フェーズ)で大切なこと
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting04/

★第5回:企画段階でインターナル・コンサルタントに求められるスキル(1)
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting05/

★第6回企画段階でインターナル・コンサルタントに求められるスキル(2)
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting06/

★第7回: ICに求められるインタビュー・スキル(1) https://kaikaproject.net/column/internalconsulting07/

★第8回:ICに求められるインタビュー・スキル(2)
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting08/

★第9回:ICに求められるインタビュー・スキル(3)
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting09/

★第10回:改革活動における企画段階の全体像を俯瞰する(1)
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting10/

★第11回:改革活動における企画段階の全体像を俯瞰する(2)
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting11/

★第12回:改革活動における企画段階の全体像を俯瞰する(3)
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting12/

★第13回:ICに求められる5大スキル領域とは
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting13/

★第14回:インターナル・コンサルタント(IC)に必要なマインドセット
https://kaikaproject.net/column/internalconsulting14/

一般社団法人チームスキル研究所 代表理事 コ・ファウンダー
田中 信(KAIKA Award検討委員)


大学卒業後、芝浦工業大学大学院 工学修士課程修了。日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて20年以上にわたりコンサルタントとして企業・組織の改革・改善活動の支援に関わる。対象は、研究開発、商品開発、新規事業開発など企業・組織内での「新しい動き」をつくる活動を中心とする。  人と組織の力を最大限に引き出す支援として、キヤリアビジョン開発、コーチング、ファシリテーション、リーダーシップ、社内コンサルタント育成などのヒト系ソリューション事業を開発してきた。  2009年独立。現在までエグゼクティブ・コーチング、職場開発(チームスキル)、社内改革推進者養成や内製化など改革支援を推進。2012年一般社団法人チームスキル研究所を設立。その後、日本経営支援センター執行役、wevox組織・人財アドバイザーを兼務、現在に至る。


★この執筆者へのお問い合わせは以下問い合わせフォームよりご連絡ください。
https://kaikaproject.net/contact/

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