『KAIKA Awards 2020事例集』からのピックアップ①
明治安田生命保険相互会社

「KAIKA Awards 事例集」は、2014年から始まった表彰制度で受賞した組織の事例を取り上げています。2020年度は21組織の事例を掲載しています。今回は、その中から、「KAIKA賞」を受賞された明治安田生命の事例をご紹介します。

「企業風土・ブランド創造運動」「Kizuna運動(全社運動)」の取組み

明治安田生命が展開している「企業風土・ブランド創造運動」「Kizuna運動(全社運動)」は、経営計画実行の基盤となる企業風 土を創造する取り組みである。2006年から形の変更はあるものの、その骨子は継続されている息の長い取り組みで、社長がリーダーを務めるものの従業員のボトムアップに重点がおかれた風土醸成運動である。
2017年には、新しい企業理念「明治安田フィロソフィー(経営理念・企業ビジョン・明治安田バリュー)」に基づき、目指す企業風土・基本方針を再設定。さらに、2020年度に「私たちの行動原則」を制定し、運営の中心に据えている。徐々に、従業員に「明治安田フィロソフィー」が浸透し、お客さまの満足度や企業認知度・好感度も向上するという成果が生まれてきている。

受賞ポイント(KAIKAな視点・取り組み)

経営活動の根幹となる経営計画の実現には、いずれの会社においても力が入れられている。ただ、従業員や関係者の意識変革は、手間がかかるわりに成果が見えにくいこともあり、定着しないままに新たな方策が打ち出され、結果として、途中で頓挫することもありがちだ。
保険契約者数が約640万人を超え、従業員数4万3千名超と大企業である明治安田生命では、経営計画達成と同時に、企業風土醸成に力点を置いた活動を進めてきた。今回のテーマである「Kizuna運動」は、「企業風土・ブランド創造運動」の中心的な推進軸として、全従業員が参画するボトムアップ型の取り組みであり、105の支社等のほか、法人部や本社部門、グループ会社など、合計で191の組織において、企業理念「明治安田フィロソフィー」と関連づけた活動が繰り広げられている。
取り組みを通じて、従業員・組織に、「お客さま・地域社会・働く仲間」の3つの絆に対する意識と具体的な行動の変化が見られてきている。 小集団活動をベースに、「経営計画」と「企業風土醸成」を両輪として回す取り組みは、中長期的に一貫した方針が保たれており、活動の力強さの源泉となっている。

取り組みの背景と内容

2004年1月の経営統合から間もない2005年、同社は「不適切な保険金等の不払い」に端を発する二度の業務停止命令を受けた。この行政処分は、新会社としての企業風土が確立されていないなか、従業員のモチベーションや会社に対する信頼感を大きく低下させることとなった。顧客や社会からの信頼回復に向けた取り組みには、従業員の「使命感・意欲・信頼関係」の回復が必要不可欠であるとし、社長をリーダーとする「企業風土醸成」の取り組みがスタート。経営計画との両輪という位置付けで推進する仕組みの原点にもなっている。トップダウン的な色彩の強い経営計画の達成を目指すだけではなく、企業風土を創り変えるということに、徹底的に力を入れることが明確に打ち出されている。
具体的には、2006年1月に、「お客さまを大切にする会社」の実現に向けて、新たな企業風土の創造をめざすプロジェクトとして、「MOT(モット)プロジェクト~ (M)もっと(O)お客さまを(T)大切に」を開始。この活動は「Moment of Truth(真実の瞬間)」の意味を込めた各組織における小集団活動「MOT運動」へと継承されていく。その後、2017年には、「明治安田フィロソフィー」を制定。フィロソフィーの実現のための核となる所属単位ごとの小集団活動として、「Kizuna運動」が新設・展
開された。
運動の統括責任者は社長であるが、全従業員が所属組織で独自に「お客さま・地域社会・働く仲間との3つの絆」を深める活動を実施。お客さまに対する手書きのメッセージカードを手渡しする「MYメッセージ活動」や、地域社会における地域貢献活動(清掃ボランティア・被災地復興募金の呼びかけなど)やJリーグ応援、職場での健康増進活動など、活動が広まっている。そのほかにも、組織特性に合わせた様々な取り組み・アイデアを出し合って実行している。さらに、素晴らしい事例を表彰する仕組みもあり、全社的な共有と展開が進んでいる。

取り組みの成果や波及効果、推進ポイント

一連の活動の成果は、様々な数値にも表れている。例えば、「従業員意識調査」における「明治安田フィロソフィーの理解・共有状況(浸透度)」は、中計の最終年度である2019年度に大幅に向上している。従業員の主体性を原動力とする所属単位の小集団活動「Kizuna運動」の継続的な展開とあわせて、経営層・所属長が率先して「明治安田フィロソフィー」の浸透を主導する運営を年々強化することで、ボトムアップとトップダウンを組み合わせた取り組みが相乗効果をもたらしている。
また、「お客さま満足度調査」においても、年々、改善基調をたどり、2019年度には、62.8%と過去最高値を更新。厳しい経済環境が続くなかで、経営目標を概ね達成し、前中期経営計画を締めくくることに貢献した。
さらに、「企業認知度・好感度調査」でも、健康増進を中心とした2019年度の取り組みが浸透し、過去最高値を記録。社会からの評価の向上に結びついている。
そして、こうした活動をさらに発展させるべく、2020年からは、「企業風土・ブランド創造運動」をスタート。バリューに基づいた具体的行動を記載した「私たちの行動原則」を全従業員に配布し、従業員一人ひとりの積極的・主体的な行動の促進に余念がない。 「Kizuna運動」を通じて、会社の各種方針が全従業員に伝わりやすくなったという声も聞かれており、組織全体のマネジメントにも好影響を与えている。
また、今般のコロナ禍に対しても、地域の顧客との接点が制約される環境のなか、「Kizuna運動」を主体として、「私の地元応援募金」を新たに実施。取り組みの成果は、様々な面に波及している。
同社では、「明治安田フィロソフィー」における長期的な企業ビジョンとして、「信頼を得て選ばれ続ける、人に一番やさしい生命保険会社」を掲げるとともに、「MY Mutual Way 2030」という2030年に向けた10年計画では、「『ひとに健康を、まちに元気を。』最も身近なリーディング生保へ」を10年後に目指す姿として示している。「企業風土・ブランド創造運動」は、こうしたビジョンを実現するうえでの重要施策に位置付けられている。まさに、全従業員が参画するボトムアップ型の小集団活動で、お客さまを大切にする企業風土創りを実現し、個人・組織の成長と社会や顧客との関わりの強化につなげている。

審査委員会・アワード事務局からの所感コメント

「Kizuna運動」は、単なるボトムアップ型の活動というだけではなく、トップダウンとボトムアップのバランスを取りながら継続している好事例である。特に、大きな組織で長きにわたり活動を着実に定着させ、意識付けを行ってきた取り組みは、他社にもおおいに参考になる。
事務局はブランド戦略部が主担であるが、社内の仕組みや組織運営について、内外に積極的に発信する姿勢が見られている。顧客・地域への関わりを草の根で広げ、さらにその活動を関係者に知らしめていくという優れたCSR・CSVの視点でもある。
10年を超えて取り組んできた活動は、ま さに組織風土を改善する素晴らしい事例と言える。

「KAIKA Award 2020 事例集」は下記からダウンロードいただけます。
https://kaikaproject.net/kaika-awards-download/

KAIKA Awardsの過去の受賞組織一覧は下記をご覧ください。
https://kaikaproject.net/awards/history

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