チームでパフォーマンスを上げる職場づくり~
第6回:進化し続けるチームづくり

第6回:進化し続けるチームづくり

2020年7月9日

こんにちは。チームスキル研究所の田中信です。

第5回では職場・チームを効果的に運営するための「サーベイ・ツール」の活用法についてご紹介しました。

テレ(リモート)ワークの比率が高まっている職場環境では、メンバーの状況を目視で確認する機会が減ってしまうため、代わりにメンバーの一人ひとりや職場の状態を定期的に把握するツールとしてパルス・サーベイの活用をお勧めします。

チームの基盤がうまくつくれない場合

さて、これまで5回にわたり、チームのパフォーマンスを高めるための基盤づくりの視点と職場での実践例をご紹介してきました。

チーム基盤を構築できるか否かで、その後にチームが生み出すパフォーマンスが異なります。

チーム基盤のない状態では、メンバーは単に与えられた役割を全うするだけの個人商店の集まりのようになります。
一方で、チーム基盤が育ってくるとメンバーがお互いの人的特性や仕事に関心をもち、相互にサポートしたり、アイデアを出しながチーム状態を高めたり、パフォーマンス向上を目指す行動が生まれてきます。
他方、これまでご紹介した実践ワークを自分の職場に導入しても、職場状態に変化がないケースがあります。
原因として、既に管理職とメンバー、またはメンバー同士の関係性が膠着(こうちゃく)した状況になっていることが考えられます。その場合は自分(管理職)だけでなんとかしようとせず、自社の人事や人材開発、組織開発を担当する部門等に相談し、自職場のミーティングに会議ファシリテーターとして第三者の立場から参加してもらい、実践ワークに再度トライするなどして、職場の関係性を変えるきっかけをつくることを推奨します。

チームスキル研究所では、このような関係性が固定している職場に介入し、職場状態を変える機会づくりをご支援しています。

チームが進化し続けるためにできること

チームが進化し続けるためには、これまでご紹介した基盤づくりの他にもやれることがあります。
本シリーズで紹介しきれていない観点(進化し続けるためにできること)についてご紹介します。

 1. チーム基盤づくりの追加視点
 2. チームのパフォーマンスを高める「チーム・プランニング」
 3. チーム状態を映し出す鏡をもつ

1.チーム基盤づくりの追加視点

チーム基盤づくりについて、これまでご紹介できていない視点について見ていきます。

(1) 職場に新しいメンバーを迎える際にやること(Welcoming)

職場に新しいメンバーを迎える際のやり方にも工夫できることがあります。
異動してきた人も新しい職場がどんなところか不安な中で着任しているケースが多いと思います。
単純に職場に馴染んでもらうだけではなく、これまで本シリーズで紹介してきた「第3回:メンバーの特性を知るワーク」や「第1回:職場のRSについての意見をきく」、「第4回:”チーム”に対する考えをきく」などのワークを実施したり、「この職場にきて気づいた前職場との違いについてコメントをもらう」など職場に馴染む前でも発言できる機会をつくり、自職場だけでは気づく事が難しい観点を得る機会として活用できます。このプロセスを経ることで、異動者も歓迎会レベルでの自己紹介だけでなく、仕事や組織経験を通じた自己表現ができる機会となり、受け入れてもらえた感覚を持ちやすくなります。

(2)「メンバーに対する思い込みの影響」について対応すること

新しいメンバー(新人・他部門からの異動、他社からの中途採用)を迎える時に、我々は相手の肩書きなどでその人を判断してしまうことがあります。この「アンコンシャス・バイアス(無意識バイアス、無意識の偏見)」についても職場対話で取り扱うテーマとなります。
守屋氏は著書『「アンコンシャス・バイアス」マネジメント』(※1)で代表的な15のバイアスについてで紹介しています。またGoogle社は自社サイト「re:Work」(※2)で「無意識の偏見に意識を向ける」ためのワークショップのやり方などを紹介しています。
これらを用いて「無意識の偏見」について職場メンバーで理解を深めるとともに、お互いに無意識の偏見の存在を感じる場面ではアサーティブにフィードバックし合える環境をつくることが大切です。

(3)職場メンバーの多国籍化へ対応すること

最近では日本国内でも、外国籍のメンバーと一緒に働く職場も増えてきました。
これまで外国籍の人達と一緒に過ごす経験がなかった人にとっては、「どのように接したらよいか」という悩みをもつ方がいらっしゃいます。このような職場環境では、国文化に関するトレーニングを導入することを推奨しています。
国文化の違いについての代表的な研究に、オランダの社会心理学者であるヘールト・ホフステード博士が50年以上の研究を通じて明らかにした「国民文化の6次元モデル(※3)」があります。この6次元モデルを用いて101ヶ国(※4)の文化スコアを保有しています。ホフステード・インサイツ・ジャパンでは、これらの知見を用いて国民文化に関する各種トレーニングを提供しています。

(4)対立を建設的かつ創造的に活用できるようになること

人が2人以上集まれば、異なる意見で対立することは当たり前のように起こります。
特に職場のチーム基盤ができてくると、各自が思うことを自由に発言できるようになる(心理的安全性が高まった状態となる)ため対立が起きやすくなります。
この対立をネガティブに捉えず、コラボレーション(協創)の源泉だと考える対立対応アプローチがあります(※5)。チームスキル研究所では、「対立の創造的活用」についてのトレーニングを提供しています。

(5)チームメンバー相互で「教え」「教えられる」育成環境をつくること

従来のOJTでは、OJTを担当する人の能力、相性、負荷過多などから限界がありました。
チームスキル研究所では、OTT®(On The Team Trainning®)という考え方により、職場で学び合える状態づくりをご支援しています。

(6)メンバーの相互評価によりチーム・パフォーマンスを向上すること

従来の上司評価ではなく、チームメンバーが相互に評価するプロセスを取り入れることで、グレーゾーン業務の取扱い、誰もやりたくない仕事を担当してくれる人、チームへ多大な貢献をしてくれている人への感謝など、これまでの評価制度でカバーできていない点について考慮できます。
チームスキル研究所では、現在「チームでの評価のしくみづくり」について実践研究をしています。

2.チームのパフォーマンスを高める「チーム・プランニング」

これまで紹介してきたチーム基盤づくりと並行して重要なのが、チームのパフォーマンスを高めるための施策です。

その1つが「チーム・プランニング」です。

「チーム・プランニング」は、プロジェクト・マネジメントの考え方をベースに、プロジェクトの抱える課題を総合的に解決し、かつメンバー参画型のプランニング・プロセスを導入することで、メンバー各自のプロジェクトにおける自身の位置づけ理解、参画意識と納期達成意欲の醸成などのプロジェクト・エンゲージメントを高める手法です。

チームスキル研究所では、この「チーム・プランニング」手法を用いて、チームビルディングでは届きにくいメンバーのプロジェクト・エンゲージメントと、プロジェクトのパフォーマンスを同時に高める実務直結型のトレーニングをご提供しています。

.チーム状態を映し出す鏡をもつ

人の集団であるチームの特性として「マンネリ化」があります。
このマンネリ化を打破する方法を体得していないチームは、惰性と諦めを積み重ねていき、パフォーマンスが低い状態に陥ります。このようなマンネリ化を打破する手法に下記のものがあります。

1) 自職場以外のよい職場を見学する。

2) チーム診断(※6)などを用いて職場状態を定量的かつ新しい観点を用いて自分達を見直す機会をつくる。

3) 組織状態に関するプロフェッショナルであるシステム・コーチ(組織開発コーチ、ORSC®コーチ)(※7)に自職場の現状を観てもらう。その後、コーチからフィードバックや、自部署レベルアップのためのコーチング手法を紹介してもらい、組織レベルを高めるための変化機会を生み出す。

上記のうち、特に3)では、自職場に第三者を迎えて対話をすることは、従来とは異なる職場の雰囲気をつくり出すことができるため、組織レベルを高める機会として効果的です。
システム・コーチに自職場の鏡になってもらい、様々なフィードバックをもらうことで、今まで気づくことができなかった自チームの癖や不文律、諦めや惰性的習慣に気づくことができます。

チーム・パフォーマンスを高めつづける職場になるために必要なこと

このシリーズでは、チームが自分達のパフォーマンスを高め続けるために大切なことについて解説してきました。
その中でも最も大切なことは、「メンバーが自職場に対して効果的な問いを提示できること」です。自分達の現状と期待について、メンバー各自が思ったことを自由に発言でき、かつその発言に対して他のメンバーも思ったことを自由に発言できる環境を維持することで、チームを新しい次元に高め続けることができるようになります。
このような一連のチームスキルを高めることで、組織全体のチームリテラシー®を醸成し、会社が経営戦略の資源の一つとして「チーム」を活用できるようになります。

本シリーズを通じて、これまでチームスキル研究所がクライアント企業の皆さまとのコラボレーションから創出したチームのパフォーマンスを高める実践手段を共有してきました。引き続きクライアントの皆さまとのコラボレーションを通じて「チームに必要なスキル」を明らかにすることで、日本のチーム力を高めるご支援をして参ります。

最後にあたり、読者の皆さまがリードする組織・職場・チームのパフォーマンスが高まり、またメンバーと組織の持続的成長し続ける状態づくりが促進されることをお祈りしています。

次月からは新シリーズ「組織改革推進者養成のススメ(仮)」について共有していきたいと思います。

※1:守屋智敬著『「アンコンシャス・バイアス」マネジメント』、かんき出版、p.p.154-186.

※2: Google re:Work、「無意識の偏見に意識を向ける」
  (https://rework.withgoogle.com/jp/guides/unbiasing-raise-awareness/steps/introduction/

※3:国民文化については、ホフステード・インサイツ・ジャパンのwebサイトを参照
  (https://hofstede.jp/intercultural-management/

※4:2020年6月現在の上記※3のwebサイト情報による

※5:参考図書としてDIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部『協力のリーダーシップ』、ダイヤモンド社

※6:チーム診断には、 Team Coaching International社が提供する
   The TCI Team Diagnostic™(故Phillip Sandahl氏が開発、日本語版あり)などがある

※7:システム・コーチング®については、CRRグローバルジャパンのwebサイトを参照
  (https://crrglobaljapan.com

【バックナンバー】

★第1回のコラムはこちら
https://kaikaproject.net/column/teamskill01/
★第2回のコラムはこちら
https://kaikaproject.net/column/teamskill02/
第3回のコラムはこちら
https://kaikaproject.net/column/teamskill03/
第4回のコラムはこちら
https://kaikaproject.net/column/teamskill04/
★第5回のコラムはこちら
https://kaikaproject.net/column/teamskill05/

一般社団法人チームスキル研究所 代表理事 コ・ファウンダー
田中 信(KAIKA Award検討委員)


大学卒業後、芝浦工業大学大学院 工学修士課程修了。日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて20年以上にわたりコンサルタントとして企業・組織の改革・改善活動の支援に関わる。対象は、研究開発、商品開発、新規事業開発など企業・組織内での「新しい動き」をつくる活動を中心とする。  人と組織の力を最大限に引き出す支援として、キヤリアビジョン開発、コーチング、ファシリテーション、リーダーシップ、社内コンサルタント育成などのヒト系ソリューション事業を開発してきた。  2009年独立。現在までエグゼクティブ・コーチング、職場開発(チームスキル)、社内改革推進者養成や内製化など改革支援を推進。2012年一般社団法人チームスキル研究所を設立。その後、日本経営支援センター執行役、wevox組織・人財アドバイザーを兼務、現在に至る。

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