Vol.6 外部表彰の諸相④ 〜コラム:表彰を活用した組織活性化〜

Vol.6 外部表彰の諸相④

前回に引き続きまして社外表彰について、KAIKA Awardsを例にエントリーされた各社がどのような活用の仕方を意図しているかみてみましょう。

1.注目度をあげたい。
2.第三者評価を得たい。
3.組織を活性化させたい。
4.組織の意思を打ち出したい。

今回は上記4.の「組織の意思を打ち出したい」についてです。

「4. 組織の意思を打ち出したい 」

表彰制度に限らず、組織のあらゆる施策は社内外に対してメッセージ性を帯びています。極論すれば組織の姿勢を表明していることと同義です。その姿勢や説明に一貫性がなければ(施策によってメッセージ性が異なっているとしたら)現場や個々の社員は混乱してしまうことになります。

本来、組織の目的やビジョンに近づくために事業、そのやり方・方針(≒戦略)があり、そのための適切な組織や体制がデザインされ、方針を推進・促進するような働きやすい環境や制度があるという構造になっています。したがって施策や制度は、その内容もさることながら、背景や意図がきちんと説明され、どのようなメッセージが社外や社員に伝わるのかを考える必要があります。

たとえば、日々の業務の管理を強化する施策が打ち出された場合、組織の側は「プロジェクトの進捗をリアルタイムに的確に把握する」意図だったものが、説明が不足していると社員は「社員は信頼されていない」と受け止めるかもしれません。

他にも、「チャレンジングな組織風土」という言葉であっても、エンタメ事業の組織とインフラ事業の組織では意図が少し異なることが想定されます。前者の場合「楽しさを社会に提供する」ので、面白がることのできる人、アイデアをどんどん出せる組織、といった意味合いのチャレンジになるでしょう。後者の場合は「社会に安心・安全を提供する」意図が強いので、強い使命感を持つ人、間違いのないサービスを確実に提供し続ける組織、といった意味合いのチャレンジになるでしょう。前者と後者では、事業や仕事の進め方、組織の体制や、評価の仕組み、人材育成体系、などがそれぞれ異なっていることになります。したがって、会社組織それぞれの意味合いにおける一貫性が大事だということになります。

KAIKA Awardsではエントリーされた活動が、社会、組織、個人のレベルまで一貫性(アラインメント)がとれている状態にあるかどうかが審査の指標のひとつになっています。社会視点の発想に立った組織の意図が、正しく個々の社員に受け止められているかどうか。逆に個々の社員の視点から、自身の行動や活動が、組織やその方針を通じて、社会に提供されているという実感が持てているかどうか、がポイントになってきます。

このように考えると、組織の意図と一貫性を持った施策を展開するために、外部の表彰制度を活用することは、組織の意図や意思を内外に表明する有効な手段のひとつといえるでしょう。社外からの見られ方として、あるいは社員自身が、「いい活動、健全な活動なのだ」「この方向で間違ってないのだ」という認識を持つことができますし、そのようなメッセージが伝わることになります。

たとえば、「職人の育成をしている活動」であっても、組織を強くするため、あるいは競合他社に勝つため・・・だけではなく(これは手段レベル)、この職業を広く知ってもらい、若い世代があこがれる職業にするために、あるいは文化が継承されていくように・・・といった意図や意思を表明できることになります。このような発信は、中長期的に社会の評判や共感といったものが醸成されていきますし、従業員のエンゲージメントの向上、あるいは顧客・ファン層の拡大や採用力の強化といったことが期待されるでしょう。

このように外部表彰は、組織が社外(顧客を含む広く社会)と社内(主に働く従業員)に対して強くその意図を表明することのできるツールだといえるでしょう。

一般社団法人日本能率協会 KAIKA研究所
山崎 賢司 (KAIKA Awards事務局)


  大学卒業後、英国国立ウェールズ大学経営大学院 経営学修士課程MBA(日本語)修了。地方銀行を経て社団法人日本能率協会(JMA)へ入職。リーダー育成、経営者選抜育成等の教育研修のほか、各社に応じた組織診断、風土改革、教育体系・人事制度構築など300社以上の企画提案を行ってきた。2011年に提言した「KAIKA経営」を主導し、現在はKAIKA Awardsの企画・運営を担うとともに、経営者の想いをコンセプトメイクすることや、各社の人事・組織領域を中心とした企画支援・業務フローのドキュメント化など(ビジョン・理念から中長期・短期戦略、人事制度・規程など)の支援を行っている。
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