Vol.1 はじめに:組織活性化のツールとしての表彰制度 〜コラム:表彰を活用した組織活性化〜

Vol.01 はじめに:組織活性化のツールとしての表彰制度

 近年、「表彰制度」を見直す機運が高まっています。例えば「ユニークな表彰制度をベンチマークしたい」、「社内の表彰制度を復活、新設したい」あるいは、「社外の権威ある表彰を受賞したい」といった話題やご相談が、近年増えてきています。
表彰といっても様々な分野、様々な対象があります。企業・組織が提供する財やサービスに対してその機能やデザインを表彰するものや、組織の仕組みや活動内容を表彰するもの、あるいは個人の活動を表彰するものなど、その対象は様々です。また、社外・外部の(例えば国や自治体、業界団体など)団体や機関から贈賞されるタイプの表彰もあれば、社内の制度として、会社や社長から個人や部門の業績や善行などに対して表彰するタイプもあります。

一般社団法人日本能率協会では2013年度より、このホームページ内にもご紹介のある「KAIKA Awards」という表彰制度を運営しています。これまで本表彰制度の事務局としてエントリーのご相談をはじめ、様々な組織の活動や事例に接してきました。本コラムはそれらの活動を通して、あくまでも担当事務局の所感という位置づけで、執筆・連載していくものです。

 これまで事務局として、表彰という形を通して多くの、人・組織の受け止めや変容を目の当たりにしてきましたが、まず、強く感じたことは、表彰制度は組織活性化のツールとして非常に「使える」ということです。やはり、人は褒められて悪い気持ちになるものではありませんし、表彰の対象が所属する組織であれば、メンバーの方々は少なからず誇らしい気持ちになるものです。モチベーションやエンゲージメントといった高揚にも寄与しているのだと思います。ただ重要なのは、表彰はあくまでもツールということであり、表彰の制度があればそれでOKというわけではない点には留意が必要です。むしろ人事制度をはじめとする多くの制度やルールと同様に、その制度自体よりも運用の方が重要であり、「やり方」次第では、プラスにもマイナスにも寄与してしまうものだと思います。では、プラスに寄与する表彰制度の使い方、運用ノウハウとはどのようなものでしょうか。その問いに対して、全ての組織に適用できる魔法のように明確な答えはありませんが、ヒントやポイントは確実にあります。それらを探ってみたいと思います。

 本コラムは「表彰を活用した組織活性化」という表題がついています。表彰制度は、短期的には「組織の活性化」を目的としても間違いではないかもしれませんが、もう少し先の長期的、あるいは本来の目的や目指す組織の姿は、各々の組織によって異なってくるでしょう。それでもやや乱暴ですがざっくり括ってしまうと大きく2つに集約されそうです。ひとつは、「組織のビジョンや理念の実現に寄与するため」もうひとつは「組織の風土づくり」です。
「組織のビジョンや理念の実現に寄与する」のは、究極的には組織における活動の全てにあてはまるかもしれません。表彰を活用する場合の多くは、掲げるビジョンや理念、あるいは共有したい価値観を組織のメンバーに正しく認識してもらう、あるいは普段の仕事や業務に紐づく意識を持ってもらうことを意図しているものです。

もうひとつの「組織の風土づくり」については、もちろん風土づくりなのか、が各々の組織で異なっているわけですが、例えばチャレンジングな組織風土、自律的に考え行動する組織風土、あるいは組織への愛着、アイデンティティを強化する風土づくり、といった具合です。
 もちろん、表彰制度ひとつだけでビジョンが実現されたり、価値観が共有されたり、あるいは理想とする組織風土を醸成したりというわけではありません。ただ、表彰制度はその内容、つまり何を表彰するのか、何を「是」としているのか、といういわば組織の意志・意図が表出されているものです。従業員にとってみれば少なからず「あ、ウチの組織はこういう思考や行動を“善し”としているのだ」「こっちの方向性に向かおうとしているのだ」と受け止めます。つまり、組織が社外(顧客を含む広く社会)と社内(主に働く従業員)に対して強いメッセージ性を帯びているといえるでしょう。また逆に、表彰制度はその内容によって、組織が何を重視していくのか?を問われているとも言えるでしょう。

ページトップへ戻る