Vol.2 社内表彰の諸相 〜コラム:表彰を活用した組織活性化〜

Vol.2 社内表彰の諸相

さて、本コラムのVol.1では「表彰制度」が組織の目指す方向を組織内外に示すものとしても捉えられる、などと書きました。今回は「社内表彰」について書きたいと思います。

表彰制度については「社内表彰」と「社外表彰」に分けて考えられます。

「社内表彰」は、会社の制度として、会社や社長から個人や部門に対して表彰するタイプのものです。例えば永年勤続表彰は7割近くの会社が導入し、5割近くが営業優秀者表彰の制度を導入していると言われています。一般的には、社内の個人やグループの功績・功労について、感謝し、広く組織内に認知を図り贈賞されることが多いようです。

一方の「社外表彰」は、社外・外部の(例えば国や自治体、業界団体など)団体や機関から贈賞されるタイプのもので、当該企業の活動を第三者の一定の観点から応援・推奨する仕組みのひとつです。近年では、女性の活躍や多様な雇用形態、多様な働き方に関連する活動、あるいは地方創生に寄与する活動などに対して贈賞される例が多くみられるようです。

それぞれにメリットや活用の仕方がありますが、今回は主に「社内表彰」について考えてみましょう。

まずその背景は、

  • 経済的報酬(賃金)の伸び悩み
  • 競争環境変化の中での組織活力の維持・向上
  • 人事施策のひとつの手段として注目

といったことがあげられます。

また、主に以下のような意図で実施することが多いようです。

  1. 社内での注目
    • 社内広報などで露出できる。
    • 発表の場で、理念や大切にしている価値などを再確認できる。
  2. 社内の異なる観点から評価
    • 長期的に大切なことに焦点をあてられる。
    • 数字成果が見えにくいことに焦点をあてられる。
  3. 組織活性化への寄与
    • 組織の理念や大切な価値を体現している人を称えることができ、関係者の自信やモチベーションを高める。
    • 理念や大切な価値から自分達の仕事を問い直す。
    • 社内向けインナーブランディングに役立つ。

いずれも社内の個人やグループの功績・功労について感謝し、広く組織内に認知を図り、それによって、表彰される個人やグループの「自己効力感」や「関係効力感」を高めることを意図しているといえるでしょう。それらがやる気の向上や生産性の向上に寄与することを狙っています。

実際の個々の心理においてはどのようなことが起こっているのでしょうか。集約してあげられるポイントのひとつは「効力感」です。効力感には、自己効力感、関係効力感、社会的効力感に分けられます。

自己効力感とは「自分の行動は適切である。そしてその行動の結果、目標を成し遂げることができる。」ということが感覚的にも腑に落ちて、それを信じて、拠り所にして将来の行動を選べる状態のことを指します。自分の強みと魅力を自覚し、自信を持つことへ寄与します。

関係効力感とは、「相手との関係について、互いが適切な行動をとれている。そして、その互いの行動の結果、目標を成し遂げることができる。」ということが感覚的にも腑に落ちて、それを信じて、拠り所にして将来の行動を選べる状態のことを指します。互いが相手の強みや魅力、良さなどを素直に認め引き出すことへと寄与します。

KAIKA的な組織運営をしている企業・団体においても「社内表彰」を実施しているところがいくつか見受けられます。これら効力感的感覚は、自発的に個々人の心の中で巻き起こるものであり表出化・測定が難しいものですが、風土の醸成に多大に影響しているといえますし、近年話題になるエンゲージメントとも関係が深いといえるでしょう。

一般社団法人日本能率協会 
山崎 賢司
(KAIKA Awards事務局)

大学卒業後、英国国立ウェールズ大学経営大学院 経営学修士課程MBA(日本語)修了。地方銀行を経て社団法人日本能率協会(JMA)へ入職。リーダー育成、経営者選抜育成等の教育研修のほか、各社に応じた組織診断、風土改革、教育体系・人事制度構築など300社以上の企画提案を行ってきた。2011年に提言した「KAIKA経営」を主導し、現在はKAIKA Awardsの企画・運営を担うとともに、経営者の想いをコンセプトメイクすることや、各社の人事・組織領域を中心とした企画支援・業務フローのドキュメント化など(ビジョン・理念から中長期・短期戦略、人事制度・規程など)の支援を行っている。

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