Vol.2 働き方は改革しなくても良い ~コラム:働き方シフトで見えたこと~ 大橋さんに聞きました

Vol.02 働き方は改革しなくても良い

 前回から引き続きまして「ひとり働き方改革」実践中の大橋新です。前回のコラムで「私は、元々独立したいという強い野望があったわけでもなく…」と述べましたが、今回はキャリアについて少し考えてみたいと思います。
個人レベルで働き方を考える際には、よくキャリア・ビジョンについて考えましょうという話がありますね。私も前職や前々職でそんな研修を何度か受講させていただきました。なるほど確かにキャリア、仕事人生について考える機会は重要だと思います。研修等でよくある典型的なキャリアについての考え方は、まずありたい姿やビジョンを思い描くところからスタートし、次に現在の状態・現状をしっかり把握します。そしてそのギャップを埋める為に何が足りないのか、いつまでに何をなすべきかを考え、自身をコントロールしたりモチベートしたり…というものです。考え方として論理的でとても分かりやすいものです。この考え方は最近になって急に言われ始めたものというわけではないと思います。「あるべき姿と現状のギャップ=問題」として、それを埋めていく発想は、キャリアに限らずビジネスや仕事における考え方の、基本的なフレームのひとつかもしれません。

しかし個人的には、ことキャリアについて「将来ありたい姿を描きましょう」というのはそう容易いものではないなぁと思います。真剣に考え、自問自答することはとても重要なことですが、“決めねばらなぬ”という圧を感じてしまうのは私だけでしょうか。この感覚は、幼少時代に幾度となく大人に面倒くさい質問された記憶と似ています(いや、あくまで個人の感想です)。それは、大人が子供に「将来何になりたいの?」と尋ねる定番の質問です。無理やり子供がひねり出した答えに対して「じゃぁ勉強を頑張らなきゃね」という激励。これも似たような構図だと思ってしまいます。いや、あくまでも個人の…。

 無責任かつ、やや乱暴に言ってしまいますが、結論キャリア・ビジョンなどなくても大丈夫です(笑)。現に未だに私もぼんやりしています。私は、強烈にやりたいことがあって没頭するタイプ=想い先行型でもないですし、経済的にかなり余裕があって、しばらく仕事をしなくても、自分探しと称した旅行をやっちゃっても大丈夫なタイプ=収入先行型でもありません。でもそれでも大丈夫です。あくまでも働き方について深く考え、選択することが重要なのであって、その選択肢は考えれば考えるほど無限にあるはずです。必ずしも将来のありたい姿から考える必要はありませんし、目の前の仕事を起点に積み上げ式に考えても良いのです。ましてや副業か?独立か?という二者択一の重大な意思決定を自分に課す必要はありません。真剣に考えた結果、副業なしに今現在の所属組織に在籍し続けるということを「選択」することもひとつの意思決定です。ゆるく考えて良いのです。(ただ真剣に向き合い、考えることから逃げてはいけませんが)
私の場合、分かりにくいながらも敢えて言葉にするなら、「所属組織や、仕事をする環境や、自分の仕事自体に対する正直な気持ちに向き合って、折々に解釈を加え、自分自身に折り合いを付けながら、自分の腹に落としてみた」ら、今のような仕事スタイルになっていたという感覚です。
 
ということで、「働き方改革」と言われていますが、“働き方は改革せねばならない”と大げさに考えなくても全く問題はなく、自分らしく選択すればよいのです。選択すれば周囲や組織との関係が必然的に変わってくるものです。結果的に働き方改革と。
私の場合、組織を離れることを決めた際に面白かったのは周囲の感想でした。まず、当時属していた組織のメンバーの反応ですが、世代によって随分分かれていたように思います。ベテラン層は基本的に反論、疑問の声が多勢でした。「何故辞めなければならないのか?」「既に次(の就職先)は決まっているのか?」「立場ある者は、安易に辞めてはダメだ」という声です。まぁ確かにそうですよね、言いたいことは分かります。ビシッと一言で反論もできないので、「まぁいろいろ考えた結果…」などと濁した答えをしていました。一方で、同じ組織でも若手は異なっていました。「そんな働き方や考え方が普通になってきますよね」「私も大橋さんのようなキャリアを目標にします」という声が多かったです。真逆ですね。

ベテランと若手の差は何なのでしょうか。考えてみると、ベテランには「働くというのは、組織に属するということだ」「どのように仕事人生を終えるか」という思考が根底にありそうです。一方の若手には「働くというのは、自身の価値ということだ」「どのようにこれから仕事人生をつくっていくか」という思考が働いているように感じます。それは良い悪いではなく。

もうひとつ、社外の反応というものもあります。これまた面白いもので組織を離れることをお伝えすると、「え?大橋さん辞めるの?じゃぁこんなこと一緒にやろうよ」「こんなこと出来ない?」という声をいくつかいただきました。私個人としては大変有難い話です。しかし、これまたよく考えると、裏を返せば“組織に属した大橋”であれば、声がかからなかったという話とも言えそうです。この点について、後から伺った話では「君のいた組織のミッションではない仕事だから」「君のいた組織の意思決定の遅さを考えると面倒くさいから」という話でした。なるほど。いわゆる大企業病とでも言いましょうか、いわゆる旧来イメージの組織のデメリットでしょうか。ベンチャー企業のスピード感があればそんなことはそんなことはなかったのかなぁと思います。もちろん組織にいないとできない仕事もありますし、その面白さもありますが、組織との距離感を変えてみると、仕事について、周囲について、自分も改めて考えさせられることがあるものです。

大橋新氏

大学卒業後に金融機関・教育会社、シンクタンクを経てフリーに。
ド文系で特別な技能や専門分野を持たず、かといって特別に優秀でもないアベレージ人材。
そんな大橋新が経験した働き方のシフトについて「働き方改革」をどのように捉え、
どのように実践しているか言い散らかすコラム。

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