Vol.5 副業から複業、その先へ ~コラム:働き方シフトで見えたこと~大橋さんに聞きました

Vol.5 副業から複業、その先へ

前回、最近の「働き方改革」で、むしろ組織の姿勢が問われているのでは?と述べましたが、今回はその続きです。
私は組織を離れてお付き合いする人や会社が変わってきたと申し上げましたが、大変ありがたいことに先進的な考え方の経営者の方や人事の方とお会いする機会も増えました。「先進的な」というのは、いわゆるレガシーな組織から見るとそうみえるという意味で、本人やそこに働く従業員の方にしてみれば、特に先進的な認識はないのだと思います。もちろんレガシーな組織にしてみても、自身の組織が古典的で遅れているという認識はないと思います。「レガシー」と「先進的」と2つに分類できるものではありませんが、ここでは比較して考えやすいように敢えて「先進的」と「レガシー」という言葉をつかい、少々大げさに記します。

先般、レガシー人事の責任者の方の話を聞きました。
話題は人事制度の改定だったのですが、その中で「フクギョウ」をどう取り扱うかが話題になりました。曰く、「世の中のニュースを見ていると我が社も副業くらい認めてないと、『働き方改革』に無関心な会社だと思われてしまう。そんなイメージが広がると、採用に関しても人材が集まらないし、定着に関しても離職率が高くなると思う。だから副業を認める方向で施策を定めたいと思っている。」というものでした。
私は「なるほど〜」と相槌をうちながらも、後からモヤモヤとした違和感が湧いてきました。ここでのフクギョウは「副業」です。そうすると、「副」であるということは「主」や「正」があるということでもあります。つまり組織のスタンスとして、あくまでも我が社が「本業」であって、それをベースにしたうえで副業を「認めてやる」というものです。このスタンスはどうも「組織が個人に対して上から目線だなぁ」というのが私のモヤモヤです。関係がフェアではないように感じるのです。

一方で、先進的な組織の方の話も聞きました。
キャリアを考える際のベースとして「ひとつの組織の中でキャリアをどう歩むか」ではなく「個々人がそれぞれの仕事人生全体を考えたうえで、我が社の中をどう歩むか」を中心に考えているということでした。曰く、「働く人それぞれが自分のキャリアのなかで、当社といういわば“プラットフォーム”をどう捉えるかによって、働き方や我が社との関係が異なります。正社員100%で働く人もOKですし、当社が「副」で、他を本業にした働き方ももちろんOKです。」ということでした。
私は「なるほど〜」と相槌をうちながら、今度はモヤモヤではなく「我が意を得たり」の気分になりました。もちろん、このような対等に近い「組織と個人の関係」の条件として、組織の姿勢や考え方だけではなく、個人が自律的にキャリアを考えられることが前提にあると思います。そしてそんな自律的にキャリアを考えている人たちが増えている(当たり前になってきている)ように感じます。私自身、複数の名刺を持つ人のひとりになりましたが、そう考えると「副業」ではなく「複業」の方がしっくりきます。企業の姿勢は、副業だと「認可」ですが、複業だと「支援」というスタンスがしっくりきます。
さて、そしてこの先。パラレルな働き方さえも当たり前になってくると、いかに自分らしく幸せな働き方なのか?を考えながら仕事をするという意味で、「福業」などという言葉が適切になってくる日が来るのかもしれません。

大橋 新 氏(フリーコンサルタント)

大学卒業後に金融機関・教育会社、シンクタンクを経てフリーに。
ド文系で特別な技能や専門分野を持たず、かといって特別に優秀でもないアベレージ人材。
企業に所属してフリーに、本人が経験した働き方のシフトから、「働き方改革」をどのように捉え、どのように考えているか・実践しているか、を言い散らかすコラム。

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