Vol.7 ミドル層がキャリアの転機~社内価値か市場価値か~  ~コラム:働き方シフトで見えたこと~大橋さんに聞きました

Vol.7 ミドル層がキャリアの転機~社内価値か市場価値か~

本コラムの中で「キャリアビジョンを無理に決めなくてもゆるく考えて良いのでは?」と述べました。ただ「真剣に向き合い、考えることから逃げてはいけない」とも述べました。では、真剣に向き合い、考えるとはどういうことか?について、今回はミドル層を例に考えてみたものを記します。

日本の組織に属する方々は、入社当時は若手といわれる層から始まり、やがて中堅層やベテラン層あるいはマネジメント層などといわれるカテゴリへとシフトしていくことが多いでしょう。私の場合も例外ではありませんでしたが、シフトするというよりも在籍年数とともにどんどん若手世代が入社してきて、押し上げられるという感覚の方が近かった印象ですが…。

そんな若手とは言われなくなった層(仮にミドル層と名付けます)においては、この時期に自身のキャリアを考えることがとてつもなく重要になってきます。ここでいうミドル層とは、自身や同年代に係長や課長など何らかの「役」がつき始める層を指しています。やや古典的ですが、組織をピラミッドの構図に置き換えて考えると、より上位になり(昇進している、エラくなっているということでもあり)それを自他ともに認識しつつある時期でもあります。

さて、そんなミドルと呼ばれる人材として組織に何年も在籍していれば、どんな大企業であっても自身の位置づけや社内組織の動向(人間関係や社内政治)などが少なからず見えてくると思います。「オレ、役員になりたいワケじゃないから」「私、社内の政治は興味ないから」といった言葉は、この層の世代がよく口にするセリフですが、組織の一員でいる限りは、いずれ少なからず影響が及んできます。興味がないフリをしたり、忙しいフリをしたりして、考えることを放棄せずに、真剣に「自身のキャリア」を考える必要がでてきます。そして幸か不幸かいわゆる社内政治に巻き込まれることもでてきます。それらを飲み込んで自身の働き方を考えることが重要な時期ということでしょう。

ミドル層の方が、キャリアを考える際のひとつの切り口として(あくまでも考え方のひとつとして)、2つの価値について考える必要があると思います。それは「社内価値」を高めるキャリアか、それとも「市場価値」を高めるキャリアか、ということです。これは択一の問題ではなく、双方の価値を高めることもできます。ただ、志向として自分がどちらを強めたキャリアへ舵を切るのか、ミドル層がその見極めのど真ん中の時期にいると言えると思います。

まず、『市場価値』とは、自身の持っている社外の価値に近いものです。多くの場合、市場で役立つ、あるいは他社が欲しがるような技術を持つ、知見を持つ、ネットワークを持つ、といったことが問われてきます。いわゆる転職市場においても自身の「売り」が明確にあり、声が掛かる人材でしょうか。

一方の『社内価値』とは、組織ピラミッドにおいて上位へあがっていくということに近いものですが、この場合、ジェネラルにマネジメントとして昇進していくパターンと、特別な技術や知見を持っているようなスペシャリスト、専門家的に昇進して行くパターンがあります。やや乱暴ですが、後者の場合は市場価値「も」高いことが多いですが、前者の場合はほとんどが社内価値「だけ」高いということが多いと思います。

エラくなるということは、自分はどのようにして「この組織の中」における価値を高めるのか?ということをキャリアの中で考える時間が増えてくることになります。もちろん政治や人間関係なども十分にやりくりしなければなりません。何も考えていないと・・・(組織が年功的かどうかによってスピードは異なりますが)半自動的に、この『社内価値』の向上へと向かわざるを得ないことになります。さらに市場価値の志向が無いとすれば、時間が経てば経つほど社内価値の向上の選択肢しかないという傾向にあります。

組織の中に市場価値の物差しを持っている(評価される)会社もありますし、それは健全だと思います。しかし、限りなく社内価値の物差ししか持っていない会社は、本来活躍できるはずの人材を扱いきれず、結果として人材が流出し続けます。「組織は、優秀な人を『飼い殺し』あるいは『使い減り』させてはいけない。」と話す経営者の方がいましたが、まさにおっしゃる通りだと思います。

個人の視点に戻ると、キャリアについて考える時間がないなどと言っていては、市場価値は向上しません。そして、自身が属している組織が、健全な「市場価値」の物差しを持っている組織なのか?顧客無視の社内政治に奔走する組織なのか?を見極めることも、自身のキャリアを考えることと同様に、考えてほしいコトです。

大橋 新 氏(フリーコンサルタント)

大学卒業後に金融機関・教育会社、シンクタンクを経てフリーに。
ド文系で特別な技能や専門分野を持たず、かといって特別に優秀でもないアベレージ人材。
企業に所属してフリーに、本人が経験した働き方のシフトから、「働き方改革」をどのように捉え、どのように考えているか・実践しているか、を言い散らかすコラム。

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