イノベーティブな組織とは

人間中心のマネジメントが土台となり「KAIKA経営・組織」を提言しています。個人の成長、組織の活性化、組織の社会性の同時実現によって、新たな価値を生み出す(未開拓領域を花開かせる)ことを目的としています。
ここでは、改めてイノベーティブな組織についてひも解いてみます。

ビジネスにおけるイノベーション

かつてヨーゼフ・シュンペーターがイノベーションについて、「経済活動の中で、生産手段や資源、労働力などをそれまでとは異なる仕方で新結合すること」と、定義したことは有名です。日本においては長らく「技術革新」と訳されており、新たな技術や新たな技術を使った製品という意味合いが強かったのですが、近年では「新しいビジネスモデルの開拓なども含む一般的な概念」と解釈されており、もっと広範囲なものを指すようになりました。言葉としてもプロセス・イノベーション(新たな生産手法の導入)、マーケット・イノベーション(新たな販路開拓)、オルガニゼーション・イノベーション(新しい組織の実現)といったワードが登場し、使われるようになりました。つまり、秀逸な技術やアイデアを開発し、財・サービスのコンセプトとして言語化できる能力(いわば0→1の能力)もイノベーションですし、そのコンセプトを、組織を動かしながら新たなプロセスを導入しながら社会にマッチさせる能力(いわば1→100の能力)もある種のイノベーションといえるでしょう。

さて、「我が社には、イノベーションや新規事業が必要だ!」という経営者の声は以前からよく聞かれますが、徐々にその声は強くなってきているようです。それもそのはずで、近年は加速度的にマクロ・ミクロ環境の不確実性が高くなり、新たな財・サービスが出現する(あるいは衰退する)時間がますます短くなってきているのですから、これまでの手法・やり方で、これまでの財・サービスの提供に踏襲していては、取り残されるあるいは陳腐化することは目に見えています。「偶然ながらイノベーションが起きました」だけではなく、絶え間なくイノベーションを起こし続けなければならない時代ともいえるのです。

組織視点から見た、課題解決の考え方

ある意味では、イノベーションは市場が決めるものということもできます。市場に受け入れられて、そこで初めて社会課題を解決しながら事業として健全に利益をあげ続けるものとなるからです。では組織の視点から、日本企業がどのような強みを市場に対して発揮してきたのでしょうか。その変遷を見てみると、かつて高度成長期の日本は、QC活動のような職場における活動が強みでした。それは、もちろん今でも強みですし、品質の向上やコストの削減に結び付く改善活動は世界中にベンチマークされています。しかし、その後の1990から2000年は、成果主義という考え方が導入され、強みの出し方が変わってきました。「組織は個人の集まりなのだから、個々人が強くなり成果を出せば必然的に組織も強くなり成果を出せるはずだ」という風潮が強まりました。さらに、その後から現在においては、ひとりで・単独で・自社だけで、課題を解決するのは限界があり、社内外の多くのネットワークによって社会課題を解決していくべき、という考え方が主流となってきました。

これらをまとめると、高度成長期の「一丸となって解決する」時代から、「ひとり一人が解決する」時代、そして「つながりで解決する」へと変遷しているように思われます。象徴的な例として、アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズは、ある大学での講演で自身の半生を振り返って「コネクティング・ザ・ドッツ(Connecting The Dots)」と述べたそうです。まさに様々な技術や知見、それを持つ人(ドット)をコネクト(繋がった)した現在のビジネスだと解釈できるでしょう。

イノベーティブな組織へ

コネクティング・ザ・ドッツについて、スティーブ・ジョブズは「今、振り返って言えることであって、事前に予見して意図的に繋がることができるわけではない。」とも言っています。確かに、上記の0→1的なイノベーションは偶発的なものであって、再現性が低いものもあるかもしれません。しかしそのような環境を整えているという意味も含めて考えると、イノベーションを起こし続ける組織には、ある程度の特徴があるといえます。その特徴とは、以下のようなことがあげられます。

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①開放的な姿勢があること

コネクティング・ザ・ドッツの行動は「何をして、何と繋がれば、どのような成果がいつまでに出る」とあらかじめ予見しにくく、探索的なものになります。そのような探索的な行動を是とし、外部との繋がりを奨励し、外部の技術や知見を取り込む姿勢があること。組織が(あるいは職場が、上司が)アイデアを否定したり、前例で判断・評価したりしないこと。

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②個々の内発的動機付けを喚起していること

イノベーションを起こすのは最後に「人」に帰結します。多くの場合、その成功の秘訣は「人」情熱や熱意によるもの、そして共感したフォロワーの方々の熱量によって限界を突破していることが多いものです。経営や組織として、その内発的な動機付けに火を点けるようなアサインやマネジメントが必要です。

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③成功の精度をあげようとしないで、活動を奨励する

特に大組織は、新しいプロセスや新たな予算の導入などに対して消極的になりがちです。財・サービスや事業の成否を問うのではなく、その活動自体を奨励するという評価軸を持つ必要があります。例えば新規事業でいえば、「千三つ」や「1勝19敗」などと言われる世界なのですから。

以上のような特徴が、0→1能力をもつ人材や、1→100能力をもつ人材が活躍できる環境を意図的に整えているのがイノベーティブな組織といえそうです。ただ、重要なのは「イノベーティブな組織」という完成されたパターンやマネジメントがあるのではなく、組織的に思考や行動(あるいは体制やマネジメント)を変えられる柔軟さを持っているということを忘れてはいけません。

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