株式会社内野製作所 事例にみるKAIKA経営の実践

KAIKA Awards 2017ではKAIKA大賞2組織、KAIKA賞4組織、特選紹介事例7組織を選出いたしました。
こちらのコラムでは順次事例をご紹介しています。

KAIKA賞 株式会社内野製作所
「人・組織から会社を変え常に成長する」

KAIKAポイント

まず大きな特徴として、自分たちの強みは、どこにあるのかを明確に認識していることが挙げられる非常に優れた技術力を保有しているが、それを汎用品や量産品の加工ではなく、自動車や自動二輪の精密歯車の試作や開発に特化している。なにより量が保証され経営的に先を見通すことが可能である自動車関連加工分野ではなく、量は限定されているが高品質で厳しい納期が求められる分野を選択している。前者は、売上規模はあるものの、競合他社との競争が厳しく、また恒常的なコストダウン圧力がある。内野製作所が活躍の場としている後者は、極めて高い技術力が求められる試作である。試作は一点のコストではなく、ときには世界規模での総生産コストを決定づける分野であるだけに、発注先メーカーとしては、研究開発的な観点から質と納期を最優先事項として厳しい目を向けている。それに答えるには、世界でも最先端の工作機械を導入する必要がある。その高額な設備の性能を十分に引き出す、非常に高度な技術の源泉としての職人スキルが必須である。前者の量か後者の質のどちらを目指しても、厳しい選択なのである。後者を選択した内野製作所は、平成10年頃から現在に至るまで、技術に磨きをかけ、活用する組織作りを行ってきている。質を求めることと同時に、取引先も拡大させている。経営のあり方とそれに答える社員の質の向上を一体に考えた活動が、業務のあちらこちらに見られる。

そして人事的な面で考えられるのは、「研修」と「レクリエーション」である。「研修」では、働くことの意識変革から始まっている。加工技術を向上させるため、売上高の四分の一にも達する最先端分野での設備投資を毎年のように行っているが、選択過程で社員の意見を尊重している。このことは、社員の力を高めるに十分な機会である。また若手社員とベテラン社員がペア制で仕事に取り組むことで、技能伝承と業務スキルの向上を図っている。「レクリエーション」では、海外への旅行などを含む年三回の社内行事を複数階層の社員がプロジェクトとして企画運営し、あてがい扶持ではなく自分たちのことは自分たちで楽しむという意識を生んでいる。その他、地域の中では好条件の給与・賞与、ほぼ100%である有給休暇消化、新社屋や福利厚生面でも、社員が働きやすい環境を実現している。

取り組み概要

内野製作所の強みは、顧客であるメーカーの研究開発者が量産化に向けた試作時に、頭の中にあるイメージを図面化した通りに三次元化するという技術力である。実は開発者がCADで描いたものが、思いの通り出来上がるわけではない。例え3DのCADで加工できたとしても、精度の問題から工場でそのまま量産化できるものとなるわけではない。ましてやF1やMotoGPクラスのレースでは、使用できない。内野製作所で加工した製品は、想定通りピタットはまるという声が顧客から寄せられることが多い。そのためには一台数億円という海外の加工機械とともに、機械の性能を100%引き出すためのミクロン単位での微調整を可能にする治具工具を社員が作り出せること、そして測定検査機器にも投資していることなどが不可欠な要素となる。高額な加工機械を買うだけの力があっても、活用するための部分が性能の源泉であると考えられる。

現場では、多種多彩な方が働いている。たとえば73歳のベテラン社員が現役で活躍している。若手社員達から師匠と呼ばれ相談や指導に当たると共に、自ら担当の仕事を持って生き生きと働いている。自分の仕事に対する誇り、他では出来ない技術の高いレベルの仕事をしているという自負がある。時には他社が音を上げた加工を依頼され、やり遂げることもあるという。

現場では、「なんとしても成し遂げる」という言葉がよく交わされている。業務の中で困ったことがあると、治具工具を自らが加工することが当たり前という風土がある。若手の社員も自分の仕上げたものが、最終の検査工程を経て顧客に納品されていくのを見ることで気持ちが高まるという。顧客からの反応が見えるという高揚感と業務特性が、気持ちを高めている。

審査委員会コメント

経営上の戦略と集中ということでは、非常に卓越した事例だと思われる。自分たちの強みが生きる分野にしっかりと特化している。設備投資の高い水準での維持と、それを支える収益性に優れている。また福利厚生を含めて社員還元を積極的に行っている点や、社内の技能伝承を意識して仕組み化し、ベテラン社員と若者の融合が進んでいる点なども注目される。

ページトップへ戻る