クオールアシスト株式会社 事例にみるKAIKA経営の実践

KAIKA Awards 2017ではKAIKA大賞2組織、KAIKA賞4組織、特選紹介事例7組織を選出いたしました。
こちらのコラムでは順次事例をご紹介しています。

KAIKA賞 クオールアシスト株式会社
「コミュニティの創生を目指した新たな地域連携の仕組みと人財育成」

KAIKAポイント

クオールアシスト株式会社(以下アシスト)は、親会社である調剤薬局大手のクオール株式会社が行ってきた障害者雇用活動をより積極的に発展させるため、2009年クオール株式会社の特例子会社として認可を受け活動を開始した。現在は物理的移動困難な重度身体障害者に雇用の機会を増やすという意識が強い。単なる社会貢献ではなく、社員たちの強みを引き出す工夫があり、経営的にも利益を出している。一般的な就業体制では働くことができない人を排除するのではなく、強みを発揮できるように組織側を変えていくというプロジェクトである。これまで働くことができないと諦めることで、社会と分断されていると感じていた人たちが、生き生きと安心して働ける場と仕組みを作った点に特徴がある。テレワークシステム環境を構築し、地域福祉の発展に寄与している。在宅勤務者が、本社とは離れた地域で働くことのみならず、家族や地域の関係も変えている取り組みである。

取り組み概要

組織メンバーが目の届く範囲の場所で一緒に仕事をするということは、意思疎通も図りやすいし連携した仕事を進めるには適している。他方、働き方改革でも取り上げられるテレワークにおいては、目の前に社員がいなくても組織的に会社及び社員が仕事をする。重度障害者の場合、多くが移動による通勤が難しいため就職できないという実態を解決する策として、テレワークによる在宅雇用は注目されていたが、事例はまだまだ少ない。雇用管理・コミュニケーション・セキュリティ・研修のコントロールに関する問題を解決することがプロジェクト成功の鍵となる。

アシストは、いくつかの工夫をすることで、目の前に社員がいなくても就業と組織運営を実現させている。業務進捗については、個別確認やグループミーティングを定期的に開催することで、参加状況や議事録からほぼ正確に確認している。

雇用管理は、在宅社員間の横のコミュニケーションを重視し、個の活動と組織的活動を実施することが、帰属意識や社員間の仲間意識がうまれ、それが組織を生成する基礎となっている。ここが曖昧でいい加減だと、個人事業主の集まりとなって組織としての活動に支障を生じる。

コミュニケーションの面では、縦と横を意識して構築・運用している。縦とは本社から社員個人及びグループへのメールや電話での指示命令や報告と連絡である。たとえばメールでの連絡は送付後に質問による再確認や手戻りが生じないように、理解しやすい文章にこだわり、勘違いが発生しない表現を重視している。この仕組みは体調不良や緊急時の連絡にも利用している。横とは業務グループ間でのコミュニケーションである。アシストでは基幹業務として親会社の日常勤怠関連の仕事を担当している。誤りがあってはいけない業務なので、必要情報の伝達方法については、誰が担当するのか、どのように行うことが良い方法かを意識した上で共有している。さらに関連業務としてのWebデザインやホームページ作成はグループワークとなるので、Web会議システムを活用しミーティングを重ねて情報共有している。またWeb会議については自宅及びプライバシー 配慮から画像を使用せず、声と文字のみのコミュニケーションを取っている。画像を使用した会議の場合、必 要以上に緊張が伴い、業務を阻害することにもなりかねないことに配慮している。相手の立場と状況を重視するコミュニケーション構築が在宅雇用では重要で、組織を円滑に動かす要点であるという。

セキュリティについては、本社から社員が赴き情報機器やネットワークの設定を行うことで情報漏洩などの対策を行っている。また在宅勤務なので、一般的に情報漏洩を引き起こすことが多い、通勤途上でのパソコンや重要情報が入ったUSBを紛失してしまうようなトラブルが発生することはない。さらに研修については、社員が入社すると先輩在宅社員とマンツーマンで研修を実施することで、一人きりにさせない工夫を取っている。

審査委員会コメント

プロジェクトに対する熱意と誠意が非常に感じられる。このビジネスを続けることが、物理的移動困難な重度身体障害者の雇用の機会拡大につながるという思いが継続のエンジンになると思われる。また、利益を生み出す工夫へつながっていることも発展性を感じさせる。ICTが今後ますます発展すれば、テレワークも同時進行で発展する。一番の課題は企業側によるテレワークの理解である。人材難が叫ばれる中、テレワークは、通勤で働くことが出来ない隠れた労働力を顕在化させることができるやり方である。雇用管理面などの配慮・仕組みづくりを積極的に進めていければ、働き方が大きく変わってくるのではないかと思われる。物理的移動困難の方には、親の介護で家を空けられない人、育児中の人などもいるが、テレワークの仕組みは、そういった方が社会と繋がり就業を考える際にも拡げることが可能であり社会的意義も大きい。グループワークや業務及び技術指導にも工夫がみられ、個人・組織・会社としてのノウハウが蓄積されてきている。仕組みだけではなく、いろいろな問題に対面することで得られた知見も多いと考えられるが、ノウハウを隠さず、積極的に同業種あるいは異業種他社にもオープンにしている点が素晴らしい。

*本プロジェクトをより深く知るには、2016年度KAIKA賞大賞受賞リベラルの事例も参考になる。

【障害者についての表記について】
昨今、マスコミなどでは障がい者と表記することが多くなっていますが、官公庁では障害者・障がい者・障碍者などが併用されており、一般的な表記としては定まってはおりません。クオールアシストでは日常的に障害者という表記を使用されていることから、今回の事例では、障害者という表記を使用しております。

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