公益財団法人東京都環境公社 事例にみるKAIKA経営の実践

KAIKA Awards 2017ではKAIKA大賞2組織、KAIKA賞4組織、特選紹介事例7組織を選出いたしました。
こちらのコラムでは順次事例をご紹介しています。

特選紹介事例 公益財団法人東京都環境公社
「東京から水素社会の未来を発信! ―水素情報館『東京スイソミル』における環境学習事業―」

KAIKAポイント

水素情報館「東京スイソミル」(以下「スイソミル」)は、公益財団法人東京都環境公社(以下、「公社」)が2016年7月、江東区に設立した全国初の水素エネルギーに特化した普及啓発施設である。スイソミルは都民や事業者に水素社会の意義、安全性、将来像等への理解を促進することを目的として、展示スペースのほかに、水素ステーションの運営に意欲を持つ中小事業者への講習会やセミナー、国内外の視察にも対応できる講義室を完備している。また、建物は築20年の既存施設をリノベーションしている。施設名称のスイソミルは、水素に対して具体的なイメージを持ち、水素エネルギーについて内容を噛み砕いて(英語のmill)伝えることを意図したものである。メインターゲットは小中学生を想定し、目に見えず触ることができない水素エネルギーを「見る・触る・体感する」をコンセプトとした体験型施設である。来館者数は開設以来2017年12月の時点で一般来館者・環境学習の児童生徒・自治体・企業・関連団体など延べ2万人に達している。普及啓発施設を設置することが公社にとって始めての経験であったが、設置から運営に至る段階などで、職員が組織の壁を越え連携して取り組み、水素の基礎的知識の習得、館内の展示関連企業からの専門的知識のレクチャー、模擬見学案内等を通じてノウハウの共有と養成に努めた。

取り組み概要

2014年5月、東京都において「水素社会の実現に向けた東京戦略会議」が設置され、水素の普及啓発を図ることが目標の一つとして掲げられた。2015年10月に公社は都の施策を補完する公益財団法人として水素普及啓発施設を設置することを決定した。同11月から2016年7月まで施設の改修・展示物設計・制作と屋外工事を実施した。この間、まず都関連の博物館学芸員にヒアリングし、「基本理念の設定」、「施設整備のコンセプト」、「メインターゲットの設定」など、展示設計を発注するにあたっての基本手順の知見を収集し、水素普及啓発施設基本構想としてとりまとめ発注仕様書の作成にとりかかった。短い時間の中で、開館に至るさまざまな関係者との打ち合わせなどを行っていった。

上記活動を通じて全国初となる水素エネルギーの普及啓発施設において水素の可能性や未来の水素社会の姿などを効果的に発信するとともに、社内の各部門が連携を図り、付加価値を高めた公社の環境学習の拠点として展開することとした。また、取り組みを通じて職員の一人ひとりが環境のプロとなることを目指した人材育成を実践するとともに、事業運営ノウハウや専門分野の知見を社内に蓄積した。そして学校、自治体、事業者、地域主体等と幅広く連携し、取組の波及効果を高めるとともに、取組を通じて東京都の環境行政にメリットを還元する好循環を創出することが期待された。つまりは単なる普及啓発施設の設立ではなく、取組を通じて、職員意識の変化と組織としての対応の強化が図られていった。

新たにスイソミルを情報発信・環境学習の拠点とするにあたっては、次の2点を目標に掲げ、取組を進めた。

①社内の組織間連携を図り、環境分野における総合力を最大限に活用した付加価値の高い環境学習事業を展開すること。
②環境学習事業を職員のナレッジマネジメントの絶好の機会と捉え、所管組織以外の職員が積極的に参加し、知見・経験を得ることで職員ひとり一人が環境問題のプロとして自立できるよう育成すること。

このことについて、全社的に取り組むため、2016年10月に公社内組織の中堅・若手メンバーによるプロジェクトチームを立上げ、環境学習の各分野における連携や、戦略的な広報展開の具体的な方策を検討し、実行に移している。

審査委員会コメント

組織の成果としての開花の象徴は、紹介パンフレットにも表れている。水素から里山、廃棄物、地球の未来へと繋がっているのは、ナレッジマネジメント研修を通して繋がった横串の成果であろう。一般的に「組織の縦割りが問題」とはいっても一向に解決されていない事例が多いが、参加型研修などで壁を崩しつつあるのは非常に興味深い。環境というテーマに対する関心度の高さが、個人をつなぐベースになっているのかもしれない。研修などに組織から満遍なく参加しているのは素晴らしい成果だろう。

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